39.遠くへ
さぁ、この旅ももうすぐ終わる。
空港までの道のりはあまりに短く、僕に余韻をかみしめる時間を与えてはくれなかった。
 
何も無い空港でどうにか時間をつぶしたら、意外にあっさり出発の時間がやってくる。最後はシアヌーク殿下のれいの看板の顔がお見送りときた。全く、行き届いた国だ。

僕は、飛行機のタラップを駆け上がり、一番てっぺんで後ろを振り返った。

そこにはカンボジアの青空が広がっていた。

そこで僕はちょっと立ち止まり、カンボジア風のお辞儀をし、そして「オー・クン(ありがとう)」とつぶやいた。それから、ちょっとステップを切って機内にとびこんだのさ。
38.タ・ケウの少年
この遺跡にもいつもどおり売り込みの子供たちがいた。
クルマを降りると同時に強烈な売り込み合戦が始まった。

いつものように全く相手にしないで行きすぎようとした僕のかたわらを、しかし決してあきらめないで、しつこくついてくる少年がいた。

彼は何を思ったか塔の最上階までついてきた。
急な階段を駆けあがったら一緒になって駆け登ってくる。

競争になった。
だが日々あたりを駆け回っている子供にかなうはずもない。
先行スタートのハンデはもらったものの、きわいどい差で負けてしまった。

このあたりから少年との間に不思議な関係が生まれた。行く先々で僕よりはずっと上手な英語と、たまに片言の日本語を交えながら雷が落ちた場所や図書館(経蔵)などをガイドしてくれる。なかなか頭が良いようだ。

後半は売り込み文句をほとんど口にしなくなったところをみると、彼もいつまでも自分を追い払わない不思議な日本人にとまどいを感じていたのかもしれない。
入り口に戻ってきても黙ったままの少年に何も言わず1ドルをあげた。彼はうれしそうに、決り文句「本を買う」と言った。
中央塔から見下ろした
その少年だ
シェムリアップ市街
ヤシの木
プノンバケンの丘より
40.catcher in the ruins 〜アンコール遺跡でつかまえて
これで僕の旅行記はおしまいだ。
正直3日間なんてのはあっという間に過ぎる。

シェムリアップは想像していたよりずっと穏やかな街だったし、街を走り回っている人々に長い内戦の痛手なんか感じられなかった。
そう少なくとも表面上はね。

一ノ瀬泰造が命をかけて撮った風景を僕達はこんなにたやすくカメラにおさめることができる。
時代はすっかり変わった。
ただ強烈な日差しだけがあの時も今も変わらない。

hi−ho ! !
平和なときよ。
僕達は何をすることができる?
何を信じることができるんだい?

自由の風は吹いたかって?
おっとそいつは皆さん自身の目で確かめてもらうことにしよう。
きっと変わらない真夏の太陽が皆さんを歓迎してくれるはずさ。
そう、あの日あの時、あの輝いていた場所で。
アンコールワット


アンコールワットへ

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