17.象の背中
すでに夕暮れが近い。
近くのプノンバケンの丘に登ることにする。ここは絶好の夕陽ポイントとして有名だ。

丘までは急な参道を登ってもいいのだが、ふと思い立って象のサービスを利用してみた。人の代わりに象が登ってくれる。こちらの象はインド象。アフリカ象と違っておとなしい。

象の背中は思ったより快適だった。
ゆっくりゆっくり坂道を登っていく。この地では象はウシやウマ同様人間生活に深くかかわってきた生き物なのだ。

象のゆったりとした歩調をぼんやり眺めているうちに、僕はいつしか、これがこの国の人のリズムなのかもしれないと思い始めていた。
18.その丘の上から
夕陽が依然として強い光を放っている。

その丘の上で、僕は待っていた。ここでは一日の締めくくりに、地球の上でもっとも雄大な瞬間を見ることができるという。

太陽と別の方向にアンコールワットが、そして360度にひろがるカンボジアの大地の風景が、僕の心を訳も無く穏やかにさせていた。

主祠堂付近には、すでにどこからわいてきたのかというほどたくさんの人々が集まっている。そんな中、太陽はいつもどおりその一日の役目を終えるべく、着実に最後の歩みを進めていく。

その瞬間、それは大きく輝いた ! !



そして静寂がやってきた。あたりは急速な闇に包まれだしていた。
19.アプサラダンスを見た夜
その夜、アプサラダンスを見た。
 
アプサラとは天女を意味する。アプサラダンスはクメール文化のの中でもとりわけ華やかな宮廷舞踊で、蛇神ナーガの動きをとりいれたとも言われるしなやかでゆったりした動きが特徴だ。

手首のやわらかさは驚くばかり。日中の見学の疲れで、あまり集中していなかった僕もいつのまにか引き込まれていた。
 
ホテルのTVではNHKの世界向け放送をやっていた。ペルーで見たのと同じものだ。
こうして離れたところにいてもリアルタイムで日本の番組を見ることができるというのは不思議なものだ。
ちょっとしたことで世界が確実に身近なものになってきていることを感じることができる。

だが何かを考えるには僕はあまりにも疲れていた。倒れこむようにベッドにもぐりこみ、そしてすかさず眠った。
主祠堂
優雅な踊り
遠くにアンコールワット
伝統的な村の踊り
無邪気に愛想を振り撒く旅人と無関心な象
日の名残り


アンコールワットへ

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