20.シェムリアップの東、60km |
その遺跡のことは人のHPで知った。 ジャングルの中に埋もれた、遺跡とも瓦礫の山ともつかぬその風景はしかしぞっとするほど魅力的だった。 「ここに行く」 その瞬間僕は心に決めていた。 今回の行程はこの遺跡のために組んだようなものだ。 その遺跡、ベンメリアはシェムリアップの東約60qほどのところにある。道路事情の悪いカンボジアでは片道3〜4時間かかるという。だが迷いなど初めから無かった。 そんなわけで、わずか3日間のうちの貴重な一日はまるまるベンメリアにあてられることになった。 |
21.END OF THE ROAD |
道路は聞きしに勝る悪路だ。 国道とは名ばかりの穴ぼこだらけの道がひたすら続く。 国道との分岐点からの道はさらにひどくなる。 「これはケニアをしのぐな」 思わずつぶやく僕がいた。 その村はとても小さかった。 ぽつぽつと点在する家々。 それらを抜けてしばらく行くとそのうち学校が見えてくる。 「ああ、子供達がいる」 感想とも見たままともつかぬ印象がよぎったそのとき 車は突然止まった。 道はそこで終わっていた。 そしてそこがベンメリア遺跡の入り口だった。 |
22.失われた季節とともに |
ベンメリア遺跡は軍が管理している。 見学には専門ガイドと軍関係者が随行した。 加えてたくさんの子供達。子供達にとってはこの遺跡は単なる遊び場に過ぎないらしい。こうして即席視察団はできあがった。 とても狭い入り口をかがみながら抜けると、そこには写真で見たとおりの世界がひろがっていた。期待に違わぬ風景。僕は確かな手応えを感じていた。 遺跡は僕が思っていたよりもかなり大きかった。 だがガイドも子供達も心得たものだ。どんどん先に行ってしまう。時間に余裕が無かったのが唯一の心残りだ。 ジャングルと遺跡があまりにも一体となってしまい、遺跡の全体像がどうにもつかめない。特に中央塔は完全な瓦礫の山だった。 この遺跡は、もともとアンコールワット建設のプロトタイプとして造営されたそうだから、ひょっとするとアンコールワットに似た形をしていたのかもしれない。 |
アンコールワットへ
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