| ネコがいた。 一匹はまだほんの子猫で 誰かの助けを求めて「ミャーミャー」泣いていた。 親から離れてしまったらしい。 もう一匹はふてぶてしいドラネコで、壊れた車の下を住処にしているらしい。 何が起きても動じる風はなく、昼寝を決め込んでいた。 |
| 僕は歩きつづけた。 この町はどこを歩いていても、時間の流れが感じられない。 気まぐれな時間は、30年前から過ぎることを止めてしまったらしい。 それが良い事なのか悪いことなのか? それは僕にもわからない |
| 次の日、僕は再び港の近くを歩いてみた。 たまたま巨大な台風が近づいており、 波はいくぶんうねりがちで、 不気味な黒い雲が、空のかなりの部分を占めていた。 沖合いには、嵐をさけて港外に出た大型船が既に何隻か見受けられた。釣り客も昨日よりいくらか少なめだった。 昨日の子猫は姿が見えなかった。あの様子ではそう遠くにいけるはずは無いのだが。もう一方のふてぶてしいドラネコはというと、いつものように壊れた車の下でごろごろ寝そべっていた。奴は相変わらずの無関心を決め込んでいた。 出かけなければならない時間が迫っていた。 僕はこんな夏の日の午後のありふれたのシーン達を心に刻み込み、ちっぽけな港町を後にした。 |






ありふれた夏の日の午後 −わが故郷−
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