映画


2000年8月
8/6  「あの子を探して」 
ル・シネマ

中国映画界の巨匠張芸謀(チャンイーモウ)監督作。素朴ないい作品だった。舞台は極端な貧困にあえぐ中国僻地の村。50元というわずかな報酬目当てに代用教員として村の小学校に来たミンジはなんと13歳。でもミンジの目当てはひたすら50元。子供を教えることは二の次だった。金のため、一人も止めさせてはいけないというカオ先生の言いつけをひたすら守ろうとする。そんないいかげんな教師業も子供達とふれあっていくうちにだんだんそれらしくなってくる。そんなミンジは貧困のため突然街に出稼ぎに出てしまったホエクーを探して一人で街に出る。

圧倒的な貧困を前にしても人間ってたくましく生きている。コーラをまわしのみするシーンはやはり印象的。だんだん自分でも金のためだか意地なんだかわからなくなってくるミンジの混乱具合もリアリティーがあって良かった。そういえば全員素人キャストだもんね。リアリティーがあって当然か。もうすでに次の「ロードホーム」も正月公開が決まっていてこちらも楽しみ!!

8/19 「サウスパーク」
シネ・アミューズ


いや〜、結構面白かった。もっと無茶苦茶なのかと思ったら結構しっかり作られてた。ミュージカル仕立てってのもなんかふざけてるだけじゃなくってそれっぽい感じ。もちろん下ネタ、放送禁止用語満載。むっちゃかわいいキャラにむっちゃ無茶な話。でも案外グロイ表現も無いので単純に笑えます。でもあの4人の中じゃやっぱケニーが一番人気っぽい。

8/21  「チューブテイルズ」 
シネ・クイント

ああいったオムニバス物ってもともと結構好き。ユアンマクレガーとジュードロウが一話ずつ監督やってるのが話題で、でもどっちもたいしたことないとか書いてる記事をどっかで読んだけど、個人的にはユアンマクレガーのは結構好きだった。
インパクト強いのは自殺するやつとゲロるやつ。ゲロはちょっと不必要にやりすぎでないかい?「グリーンマイル」といっしょさ。見ててあんま気分のいいもんでは無かったな。最後のエピソードは良かった。でも一番感動したのは「ひかりのまち」の予告編?んなわけないか。でもマイケルウィンターボトム好きなんだよな〜

8/26  「クリクリのいた夏」
ル・シネマ
 「あの子を探して」に続いてこの夏ル・シネマ二本目。クリクリは女の子の名前で子供が出てくる点では「あの子を探して」と一緒だけどこちらはどっちかというとクリクリの周りの大人達が主役。年老いたクリクリおばあちゃんが昔を回想する形でストーリーが進む。1930年代、町から離れて沼地に住むガリスとその周りの人々、子供の世話も満足に出来ないだらしない相棒リトンや金持ちだが無為徒食の人アメデ、家族とうまくいかない金持の老人ペペ、そしてガリスが想いを寄せるマリーなど沼地とその自由な生活を愛する人たちとの関わり合いを中心に綴っていく。

 限りなくノスタルジックな絵。新しさは無いが、おだやかさと優しさに満ちている。関係ないがリトン役のジャック・ヴィユレは「奇人達の晩餐会」でも似たような(というかもっとひどい)役をやっていたので笑えた。こういう役やらせたら天下一品だね。それほど振りかぶることの無いラストも余韻が残って良かった。

8/31  「M:i−2」
「ミニシアターでも何でもないやんけ〜!!」そうです、ごりごりのメジャーです。

でも面白かったね〜。いーじゃないですか。トム・クルーズかっこいいし、タンディ・ニュートンも味があっていい感じだし。ストーリーもアクションも文句無し。さすがジョン・ウーさんでんな。有楽町マリオンの大画面にばっちりはまってました。まぁあとに残るもんはあんまり無いけど、もともとそういうもんでもないし、やっぱりこういうのも定期的に見ないとね。


9月
9/2  「ひかりのまち」 監督マイケル・ウィンターボトム 
シネセゾン渋谷


珍しく公開初日に行ってきた。これがすごい人だった。「チューブテイルズ」で見た予告編すごい良かったからかな。あの予告編編集した人に映画撮ってもらいたいもんだ。

マイケル・ウィンターボトム監督作品を見るのもこれが5作目。どれをとっても渋い作風で、「GO NOW」以外は泣かせるような作りは無い。情緒性を極力排したような作り。それが持ち味。今作でもその流れはしっかり出てたと思う。

宣伝してるほど見終わってもそれほど温かい気持ちになったわけでは無い。登場人物それぞれの孤独が伝わってきて、やっぱり人間ってさびしい生き物だと、そっちの方が印象深かった。前半は登場人物の顔を判別するのにてこずった。ウォン・カーワァイばりのカメラワークがいい感じだったけど、ちょっと散漫な印象で少し眠くなった。でも後半はけっこう劇的な展開で、登場人物それぞれの孤独がそれぞれの事情にあわせて見事に描かれていてさすがだと思った。エンディングの感じとか華々しくは無いけどすっごい好き。あ〜、こうやってみると実は僕もやっぱり結構癒されてるのかもしれない。派手さは無いけど良い作品だった。

9/9  「顔」 監督 阪本順二

期待よりはちょい下ぐらい。確かに表情の変化はみられたものの、終始ぶすっとしていた主演の藤山直美に今ひとつ感情移入できなかったからかな。
その代わり脇役は好きだった。一番はスナック「律子」のママ律子さん。もうほんとにかっこいいし、優しいし、すごい良かった。おもしろいところでは一瞬しかでなかったけど内田春菊かな。独特の存在感があった。自殺しちゃった岸部一徳のキャラも捨てがたかった。こうやってみると人間味のあるキャラ達が随所で光ってた。あとは主役だなぁ・・・・。トヨエツはこのキャラから次の「仁義無き戦い」につながっていくのかな?


9/15  「ひかりのまち」 監督 マイケル・ウィンターボトム 
シネセゾン渋谷

あろうことか、また行ってしまいました。2回目。なんか日をおうごとに印象が強くなる映画ってありません? マイケルナイマンの音楽のせいもあるのかもしれないけど。
 
前半部分でよく理解できなかった人間関係をもう一度整理して見たかった。今回は予想通り最初の冗談のような満員状態は解消されいい席に座れた。前回なんとなく流してしまった前半部分もかなり把握できた。

難点だと思ったのは、ダレンとフランクリンの描き方。監督の個性だと言ってしまえばそれまでだけど、登場のさせ方でなんかもうちょっと客に対する配慮があってもいいような気がしたな。前回はあれで一層混乱度が増したんだよな。

でも孤独ってのを、こんなに鮮烈に浮かび上がらせた映画は珍しいんじゃない?みんなけっこうイイトコとロクでも無い部分を持って生きていて、そんな人が絡み合うこの世界では、気持ちのスレ違いが生まれ、誰もがいろんな形で孤独を抱えてる。バスで涙ぐむナディアは印象的だった。ねぇ、初期の吉本ばななじゃ無いけど、みんな孤独ってこんなことだよね。

モリーの出産シーン思わず涙してしまいました。ほんとうに母と子って素敵です。うまれてきた子供は、この残酷な世界で生きていかなければならない。でもきっと新たな孤独抱えながら強く生きていくんだなって思います。ウェルカム・トゥ・クルエル・ワールド!!

ラストは監督自身誰にしようか迷ったみたいだけど、やはりナディアで大正解でしょう。あの終わり方しびれる。2回目で泣けた。

感動した。ほんとに良かった一本。今年一番。サントラ聞きながら書いてる。

9/16  「うちへ帰ろう」 監督 スティーブン・メイラー 
シネスイッチ銀座

なんか作りはいかにもアメリカのファミリードラマって感じ。序盤はけっこうそういうのが鼻について引き気味だったけど、終盤はそれでも一気に引き込まれ、デヴの絶叫シーンでは涙ぼろぼろしてしまった。

あざとい作りだと思う。奇しくも「ひかりのまち」と同じ姉妹構成。三姉妹がいてその下に弟が一人。でも描き方はかなり違う。僕はもちろん「ひかりのまち」の方が数段クールだと思う。なにかこう映画的な意義みたいなのだと「ひかり・・・」のほうが数段上だ。でもそんなところとは別のところで「結局泣けて温かい気持ちになれたならいいじゃない」ってところなんだろう。

両親の離婚、そこから20年後。家族が一つになろうとする。でも長い年月のすれ違いはそれを簡単には許さない。この三姉妹のキャラが作品をおもしろくしていると思う。みんな思うに違いない。「そうだ、うちに帰ろう」って。

9/16  「金髪の草原」 監督 犬童一心 
銀座テアトルシネマ

あれれ〜?もうちょっと面白い作品だと思ったのになぁ。池脇千鶴の存在感はなかなかだし、伊勢谷友介の老人演技だってかなりいけてる。でも作品自体がなぁ....予告編は面白そうだったのに。なんかシカケみたいなとこで、一昔前の日本映画の流れをひっぱってない?隣の日向一家ってほんとに必要だったの?すでに充分エキセントリックな展開なんだから、それ以上に味付け必要だったのかな?

三人でケンカするシーンとかいろんなところで妙に狙いすぎな感じがするし。全体的に話を活かしきれてないよな。残念だ!!

しかし池脇千鶴を捨て唯野未歩子に走った松尾君の勇気には敬服するばかりだ。いや、唯野さんはもちろんいい役者だと思うけど。

9/23  「マルコヴィッチの穴」 監督 スパイクジョーンズ
東劇

不思議な映画だ、確かに不思議な映画だ。実在のジョン・マルコヴィッチの頭の中につながるというだけで、アイデア的には勝利でしょう。登場人物もユニーク。「キャメロンディアスってあんなに色気の無い女優だったんだ」というぐらいに役の性格付けがおもしろい。

ストーリーはどうかなぁ。コメディといいつつそんな爆笑しなかった。むしろ哲学的だ。あと終わり方がちょっと雑だと思ったな。わかりづらかったし、後味も悪いし。あの作りでは前評判や宣伝ほどには客は集まらないだろう。良くも悪くもツウ受けする作品だと思う。評価はするけど僕はあんまり好きな映画じゃありません。でも次は何をやってるくれるか期待してしまう監督だ。

9/24  「17歳のカルテ」 監督 ジェームズ・マンゴールド
 
恵比寿ガーデンシネマ


基本的にはウィノナ・ライダーがメインの映画だ。まだこの監督の名なんて知ってる人はほとんどいないだろうに、これだけ満員を続けてしまうのは、ウィノナ・ライダー人気が大きいのだろう。それにこの映画の予告編も良く出来ていた。

実際に見ると、ウィノナはともかくそれ以上に光ってるのがアンジェリーナ・ジョリーだ。これでオスカー受賞。納得だ。こういった種類の演技でもオスカーとれるんだなぁと、ちょっとアカデミー賞を見直してしまった。

できれば他の患者エピソードも、も少し丁寧に描いて欲しかったかも。リサ以外の患者とのエピソードが少ないので、最後が生きてないような気がするんだよね、特に隣ベッドのジョージーナが不足気味かな。

結局大事なのは自分に真っ直ぐに向かい合うことか。日本でもどんどん増えてるよね。目的が見えない人。子供でも大人でも。人に頼っていても誰も助けちゃくれない。最後は自分で立ち向かう勇気が必要なんだってことだ。

10月
10/15  「クレイドル・ウィル・ロック」 監督 ティム・ロビンス

恵比寿ガーデンシネマ


けっこう期待してたんだけど.....。大恐慌後の混乱したアメリカにおいて実際に起きた事件を元に作られている。オーソンウェルズが上演しようとした「ゆりかごは揺れる」は時の社会情勢などから公演直前になって中止させられる。これに納得いかないオーソンウェルズがなんとか上演する方法を考える。

当時の社会情勢なんかをけっこう幅広くとらえていて一本の演劇以上にいろんな部分に焦点をあててるんだが、これが今ひとつ良くないと思う。なんか散漫な感じ。ちょっと混乱したし。わざとやらなかったんだろうけど、やっぱり演劇一本の顛末を描いた方が良かったんじゃないだろうか?
 
ロックフェラーとディエゴのエピソードなんか必要だったのかなぁ。最後の演劇のシーンが良かっただけに特に思う。ほんといい素材だったのに、惜しい!!

11月
11/5  「宮廷料理人ヴァテール」 監督 ローランド・ジョフィ

ル・シネマ

見事な様式美。3日間の出来事をきっちり描いている。

よくできてた。3日の宴にかけるヴァテールと、そんなことはお構いなしにヴァテールの足をひっぱるオルレアン公やローザン侯爵。ティム・ロス(ローザン侯爵)の悪役はなかなかいける。というか船の上でピアノ弾いてるよりも無表情な悪役やってるほうがあってたりして・・・・ 

ジェラール・ドパリュデュー演じるヴァテールは個人的には冴えない中年オヤジに見えた。せっかく名優引っ張ってきてるんだから、もうちょっとだけ色気あるキャラ設定にした方がいいような気はしたな。

ストーリーは、かつてフロンドの乱でルイ14世に反旗をひるがえし、不遇な時代を送っていたコンデ大公が失地回復を目指し、国王を迎えての3日間の饗宴を催す。この饗宴の総責任者を仰せつかったのがヴァテール。ヴァテールは1日目、2日目と見事な趣向で国王を唸らせる。しかしこれが仇となり、ヴァテールを欲しくなった国王はコンデ大公とのカードゲームで、大公にヴァテールを賭けることを強要する。ここからヴァテールの運命が狂いだす。

一徹者ヴァテールがたどるのはやはり悲劇。そしてヴァテールに心惹かれた女官アンヌも同様。悲しい結末が深い余韻を残す。この手の大掛かりな時代物の作品はあまり見ないほうだが、これは良かった。

そうそう、「クレイドル・ウィル・ロック」に求めてたのはこういうことだ。こういう風に限定的に描いてくれればきっとあれもいい作品になったのになぁ。

11/23  「漂流街」 監督 三池崇史
渋東シネタワー
近頃話題の監督なんで思わず見に行ってしまう。SPEEDの「アンドロメディア」だの「サラリーマン金太郎」だの、およそ映画ファンの神経を逆撫でするような種類の映画をとってきたにもかかわらず、この人は最近ちょっと気の利いた映画雑誌なんかでも話題だ。んで、僕はそういうのに見事にのっちゃう人なんで、公開終了も近い今日ふらふら行ってきた。
 
まぁ、ストーリーはね、それほどすごいもんじゃない。タイトルから容易に連想されるようなちょっとヤクザ系のストーリーで悪く言えば平凡。でもすごいのは見せ方やね。

闘鶏シーンでマトリックスやっちゃうとこなんかうなったね。他にもCGが随所にはいってて、それがちっともイヤミっぽくなくでも大げさで、笑っちゃうやら感心するやら。

あと役者がいいよね。主演のよくわかんないブラジル系のお兄さんは雰囲気でいい感じだけど、すごいのはやっぱ「みっち〜」やね、及川光博。この人の役って、誰が考えてもあまりにはまりすぎるまさに適役(ナルシーなチャイニーズマフィアのボス)な訳だけど、それでも期待を上回る演技やっちゃうとこがすごい。

吉川晃司もいい味だしてたな。まぁみっち〜に比べるとすごいとまではいかないけど、なんかいつのまにかいい役者って感じ。

ストーリーがほどほどなんで、全体的にみると評価はおちるかも知れないけど、でも面白かった。おさえておいて損はないと思う。次の作品も見てみたい。

11/23  「いつまでも二人で」 監督 マイケル・ウィンターボトム
銀座テアトルシネマ

マイケルさんの新作となれば、行かない訳には行かない。なんたって「GO NOW」以降日本で公開された全作品を公開時に見に行ってるから
 
でもこうやって通して見て来るとわかるけど、この人すっごい作風変わって来てる。ちょうどそんなこと考えながら映画館出てきて、後でパンフ読んだら同じようなことが書いてあった。そうそう「バタフライキス」の殺伐てんこもりにに比べると、もう「ほんとに同じ人?」というぐらい違う。そう、そのくらい今作の和やかさときたら・・・・・

けっこうコメディ。随所に笑いあり。それほど押し付けがましくも無くけっこう笑える。この人そういうセンスあったのね、と初めて知る。

話はシンプルで、子供の出来なくてちょっとうまくいってない結婚5年目のカップル(ヴィンセントとロージー)のところにフランスから妻の初恋の人(ブノワ)があらわれ、成り行き上2人の家庭に滞在することになってしまう。

ただでさえぎくしゃく気味のところに、そのフランス人なかなか気が利いていて、ロージーはだんだん気持ちがぐらつき始める。当然ながらヴィンセントは面白くない。

予告編見てる限りでは、ブノワはけっこうイヤなやつっぽかったし、ヴィンセントはもっと情けない奴かと思ってた。でもみんなそれなりに人間味あったね。ロージーも思ったより強い人だったし。さすがマイケル

ラスト良かった。特にロージーがヴィンセントから渡された紙を読むシーン。顔の表情の変わり方が最高だった。

今回は佳作かな。でも見やすいし、とても温かい作品だ。入門編としてもお勧めかも

12月
12/16 「PARTY7」 監督 石井克人
シネセゾン渋谷


さても話題の映画。監督は「鮫肌男と桃尻女」の石井監督。出演は永瀬正敏に浅野忠信、原田芳雄他。これで注目集めない方がおかしい。

初日っつうこともあって、大変な混雑ぶり。さすがに109まで並ぶことは無かったけど。僕は19:00の回だったけど、その前の回じゃ係員の人が「かなりきつい立見です」と連呼してた。「かなりきつい立見」とやらに興味がわいたけど素直に1回遅らせた。

作品はっていうと、これがまたやたらとディテールにこだわった作品。なんか役者の個性を徹底的に出した役付けがされてて、それがいちいち決まってる。みんなそれぞれネジが一本かけてるようなキャラなんだけど、なかでも特にノゾキ野郎の浅野忠信がいい味。原田芳雄はちょい狙いすぎ?あと堀部圭亮っておもしろいキャラだね。タイトルバックにはアニメ使ってたりして作りそのものがとっても劇画チック。
 
でもさぁ、タイトルからして7人が集まって銀行強盗でもするのかしらん?アクション大作?とか思うじゃない?違うんだなぁ、これが。ほんと設定の一つ一つまで見事に細かいんだけど、でも大ワクの話はたいしたことないの。逆にそれが新鮮っていう言い方もあるんだけどさ。意図的にやってんのかね。

まぁ、でも各キャラが織り成すオフビートなボケはかなり笑える。なんでこれから見る人は基本的にストーリーを楽しむというより、それぞれのキャラの味付けを楽しむという方向で臨むと良いのである。

12/16 「初恋のきた道」 監督 チャン・イーモウ
ル・シネマ


のってますね。チャン・イーモウ。

今作は純愛もの。もうすでに予告編で十分観客の心をとらえてるのか、こちらもかなりの混雑ぶり。ま、ル・シネマは定員入替制なんで立見は無いけど、19時の回は16時半に行ったときには満席になってたし、僕の見た21時過ぎの特別レイトショーの回も満席だった。

話なんてたわいもない。とある村に赴任してきた若い先生に村の女性が恋をする。その恋の顛末を描いてるだけなのだ。しかも映画の最初は、何十年か後その先生が病気で死んで妻が一人残されたところから始まり、息子が過去を回想する形式で始まるんだから、2人の恋の結末は最初からわかってる。 

ではなんでこんなに客を集めるかというと、これはバックの美しい風景もさることながら、主人公ディを演じた女優チャン・ツィイーのあまりにも清純な美しさにつきる。こんな言い方死語に近いけど、他に言いようが無いのだ。ほんとにきれい。なんか目がとても涼しいのだ。

チャンユー先生がディ(チャン・ツィイー)の家を訪れたときに出迎えたディを見て「一幅の画のようで、一生忘れない」と言ったシーンのディの微笑む姿といったら・・・・・。これはもうそれだけで一見の価値あり。この作品はディ役をチャン・ツィイーに決めたときから成功は約束されていたのだ。

こんな美しい話あるわけは無い。でもそんなこと関係無い。あまりにもひたむき、あまりにも壮絶なディの想い。じ〜んときてしまう。

ラストがちょっと気に入らなかった。余計なエピソードつっこんで作品の焦点がぼやけちゃってる気がした。「あの子をさがして」もそうだったけど、この監督、いろんなことをなんかご都合主義的に強引にまとめてしまうようなところがあるような気がする。

まぁでも、そんな細かいことは抜きにしてこの作品は美しい。見るべし! ! 見るべし ! !

12/29 「式日」 監督 庵野秀明
東京都写真美術館


空いてたねぇ。この時期だとこの作品に限らず他の映画館でも空いてるのかもしんないけど、もうちょっと客が入ってるかと思った。作品も全体的には客数に比例するような出来かな?

岩井俊二も新作がとんと無くって、待ちどおしい限りだけど、なかなか出てこないね。スランプ?

役者としての岩井俊二は思ったより普通。終始クールに淡々とこなす。キャラにあってるけど、もうちょっと爆発しても良かったような。一方ヒロイン藤谷文子はかなり切れた演技。原作が彼女の作品だからもともとしっくり来る部分があるのかもしれないけど、うちからこみ上げるような演技はなかなか見もの。

スジの方は、ちょっと一風変わった自分の殻に閉じこもりがちなエキセントリック少女と中年のおじさんの不思議なかかわりを描いた作品。これ自体はそれほど目新しいもんじゃない。大筋もそれほど特別なもんでもないけど、随所に庵野監督らしい「えばんげりお〜ん」なシーンが挿入されてたりする。なんか悪く言うと一昔前的な見せ方って感じもするけど、それでも後半には映画界のシビアな現状認識が飛び出したりして、やはり視点は鋭い。最近の映画って確かに「傷つきやすい人たちが刹那的な癒しを得る場」と化してるとこあるし、そういう作品がもてはやされるもんね。演劇界もそうだなぁ・・・・・。それに僕もそう。

行き場を失った二人が最後に死ぬかあるいは女の子が一人でいっちゃうかどっちかだと思ったけど、ちょっと違った。33日以降が良かったね。全体的には確かにそれほどっていう作品ではないと思ったけど、たいした事ないといいつつちょっとぴりっとする部分があったよ、この作品は。

12/29 「パリの確率」 監督 セドリック・クラピッシュ
恵比寿ガーデンシネマ

いよいよ今年の文化活動の大トリか?いやいやまだわからんぞ。31日があるからな。大阪でなんか見るかもしれない。見るとしたらあれだろうけどな。ま、でも見てもここに書くのは年明けか。

この監督は前から一度見たかったんだよな。「猫が行方不明」公開時に行こうと思って見逃しちゃって、ずいぶん経ったけどこれが初体験。でも思ったほど客は入ってなかったな。こちらも客数に応じた出来かな。

とにかく設定が強引だよね。パーティ会場の天井が70年後の同じ場所に通じていて、しかもそこはすっかり砂地になっている。このへん詳細な説明が無いんだけど温暖化とかそんな関係なのかね。そんで主人公アルチュールがトイレで用を足してるときに天井のすきまから砂が降ってきて、天井板をどけると未来が広がってるというわけ。

未来に行ったアルチュールはそこでいきなり年老いた息子アコに出会う。アコはアルチュールとリュシーがこのパーティの日の夜のセックスでできた子供・・・のはずなのだがなぜかアルチュールは子供が欲しくなくて全然乗り気薄。このためアコは存在が怪しくなり足は透き通り始めてしまう。未来の世界にいた一族の人間はみな身の危険を感じ、アリュチュールになんとかリュシーとセックスしてくれるように懇願するのだが・・・・・。

アコ役のジャン・ポール・ベルモンドは大御所でありながらけっこう軽快でチャーミングな演技。やはり名優はあなどれない。なんかこの人のせいで話がいっそうややこしくなってる気もしておもしろい。作品自体はちょっとしまり無かったかな。設定のわりに緊張感が無かったね。期待度高かった分ちょっと期待はずれだったかな。

12/30 「ダンサー・イン・ザ・ダーク」 監督 ラース・フォン・トリアー
渋谷松竹セントラル

こ、これはすごい。
こんなにすごいとは・・・・

もう涙止まりませんでした。とにかくクライマックスにかけてぼろぼろ泣いてました。恥ずかしいとかそんなもんどうでも良かった。ビョークすごすぎ。今年のbPはこれです。もう文句なし。だてにカンヌのグランプリとってません。ここ10年でも最高の一作かも。

この監督を見るのは「奇跡の海」に続いて、2回目。前作もなかなか良かったけど不幸てんこもりなストーリーに無理があったのと、ラストシーンがイマイチ好きになれなかったので自分の中での位置付けは低かった。監督もインタビュー記事なんか読むとあんま僕の好きなタイプじゃない。ビョークも撮影中はだいぶ監督とやりあったみたいで、そのせいかどうかはわかんないけど、2度と映画はやりたくないとか言ってるみたいだ。そんなわけで今作は世間的な評価を聞いてもどっか疑心暗鬼なところがあった。でも実際に見に行ったらそんな不安どこへやら。「奇跡の海」ではあの無茶な話を演じるにはあまりに女優がまっとうすぎた。だから上手いんだけど、どっかわざとらしくぎくしゃくしてた。今回も不幸てんこもりのかなり無茶な話だけどそれをきっちり受けてたってるビョークがいる。この自然な演技は上手い下手というよりセルマのキャラと完全にシンクロしてる。天性のもんだ。だからこんなすごいものができちゃったのだろう。

主人公セルマ(ビョーク)は町工場で働いていて子供が一人いる。夫はいない。そして大のミュージカル好き。仕事中も台本を話さず、ヒマがあれば空想にふけっている。でも彼女には秘密があった。彼女はもうまもなく失明してしまうのだ。これは遺伝らしい。もうすでにかなり見えなくなっている。そして同じことは息子ジーンにもいえるのだ。セルマは生活費をぎりぎりまで切り詰め息子の手術代をためている。もうすぐ手術代がたまるというところで、トレーラーハウスを貸してもらっている警官のビルから「破産しそうだ」と相談を受ける。そしてある日セルマのお金の隠し場所を知ったビルはそのお金を持ち出してしまう。そこから壮絶な悲劇が始まる。

セルマの空想はいたるところで場面をミュージカルに変えてしまう。ホンモノの舞台だけでなく、工場でも、線路の上でもビルの家でも、そして・・・・でも。逆境のなかでも決して歌を忘れない。
 
そうだよね。確かにとっても暗い話。でもビョークは命より大切なもののために歌うのだ。がんばるのだ。その姿はほんとに天使に見える。結末についてはあんまり言えないけど(ってパンフに明記してるし)もうほんとにこれはすべての人に見て欲しい。「自分は感動したけど暗すぎてあんまり人には勧めたくない」なんてコメントも聞くけど、そんなことないと思う。この生き様は是非心に刻み付けるべき。そりゃこんなやつは実際にはいないさ。でも形は違えど人間誰だってこだわりはある。セルマはセルマなりの我が子への一途な思いがあり、それをたたきつけてるから、そしてその思いが観客にも伝わったから、この作品はすごいんだと思う。ラスト近くのとあるシーンでセルマが急に歌いだすんだけど(見た人ならきっとわかるでしょう)、この瞬間、劇場内を光のようなものが走りぬけたような気がした。「この作品に衝撃を受けて生き方変わった」なんてのは基本的にうさんくさいと思ってる僕でもこの作品見た後ならちょっと生き方変わっちゃうかもしんない。

そうそう劇場もすごい混んでた。やっぱり評判を呼んでるんだね。すごかったよ。キャラメルの舞台じゃないけど(比較するのも無茶だが)、みんな泣いてたもん。今世紀最後にこれを観れて良かった。絶対必見!!

そういえば何年か前の第2回フジロック(東京開催)でビョークを捨ててイギーポップに走ったんだよなぁ。懐かしい記憶だ。



        
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