映画


2001年9月
9月6日(木) 「London Dogs」 監督ドミニク・アンシアーノ&レイ・バーディス
日比谷シネシャンテ


基本的に「トレスポ」以降のイギリス映画は好きだし、けっこう見てると思う。

しかし結局「トレスポ」のインパクトを越える作品は出てないし、この作品の監督ダニー・ボイルのその後の作品だってたいしたもんじゃない。んで、この作品もやっぱりそう。この作品のイマイチな点はスピード感が無いこと。まったくたらたらたらたらやってくれた感じ。

ジョニー・リー・ミラー扮するジョニーはさえない郵便配達夫。仕事に嫌気がさし、叔父さんがギャングの親玉であり、そのギャングに加わっている親友のジュード(ジュード・ロウ)を頼ってギャング団に首尾よく加入するのだが、このギャング団がでたらめで、抗争などもってのほか、毎日和気あいあい、趣味のカラオケで盛り上がる日々。派手なドンパチに憧れるジョニーはよせばいいのに南のギャング団に手を出し、独断で2人殺してしまう。これがもとで全面抗争に発展しかかったのだが。

個々のキャラ設定はけっこう面白いし、魅力的。でもどうもそれが活かしきれてない感じ。コメディにするなら、もっと極端な性格付けしても良かったんじゃないの?エルビスコステロ風の相手の親玉なんてもっと氷のような冷酷にすると面白いのに。

ジュード・ロウかっこよし。惚れる。けっこうお人よしだったりして、見た目に相応しい性格づけじゃなかったのが残念。でも演技見てるだけでもおもしろい。この人はやっぱりすごい。

9月8日(土) 「チアーズ」 監督ペイトン・リード
シネマライズ渋谷


チアリーダーの青春モノなんて、いつもならたぶん見ない作品だけど、人の評判が良かったので、見に行ってみた。そんなに目新しいストーリーでもなく、これといってすごい演技があるわけでも無いが、丁寧に作られてる感じで好感がもてる。いいかげんそうなメンバーぞろいでしかも3週間であんなにできちゃうなんて、ちょっと簡単すぎる気もするけど、大会のシーンなどしっかり作られてて、思わず手に汗握りしめて応援してしまった。アメリカの青春ものってほんといいかげんなのが多いけど、これぐらいきっちり作ってくれれば、悪くないね。

若いっていいなって思わせる一本。でも僕の高校時代なんて悲惨の一言につきたけどなぁ。

9月8日(土) 「千と千尋の神隠し」 監督宮崎駿
シネフロント

「なるほどこういう作品なのか。今年夏、なみいる強豪洋画勢を退けて邦画勢で一人気をはいた作品はこういう感じなのか」見終わって思っていた。

「もののけ姫」とはだいぶ感じが違う。これはどっちかというと、ま、描き方はだいぶ違うけど、子供の頃の視点で描いた作品という点で「トトロ」に近いのかなあ。

つくりはいつもどおり丁寧で、アニメだからという手抜きはもちろん無くって、一つ一つのシーンでの細かい描写が見事。それが躍動感を出してるし、作品全体の緊張感にもつながってる。どことなくジョルジュ・ブラックの精神性を思い出してしまう。

ただの冒険モノでは無くて、いつものように現代社会への批判、警鐘みたいなものがきっちり入ってるし、そういう意味では手堅い宮崎作品というのかもしれない。これはもう職人技。
沼の底の銭婆(だっけ?)、顔なし、ネズミに姿を変えられたら、喜んで千の冒険にくっついて行き、元の姿に戻ろうとしない子供とか魅力的なキャラがいっぱい。ああ、やっぱり宮崎ワールドってすばらしい。

9月9日(日) 「ジュラシック・パーク3」 監督ジョー・ジョンストン
渋谷シネタワー

英会話とライブの間のきわどい時間で一本突っ込む。

ジュラシックパークのシリーズは一度も見たことが無い。CGはすごいというし一度見ておこうと思ったのだ。

さすがにそれを売り物にするだけあって恐竜の動きは見事の一言。実は内容はクソでは無いかと思ってあまり期待もしてなかったけど、そのわりには楽しめた。なかなか面白いじゃない。

しかしあの母親、なぜ殺さない?だいたいあのオバはんのせいでみんな命まで危険にさらしてるのだから、真っ先に死ぬべきだろう。あのおばはんが死んでれば傑作になったかもしれんな〜(それは無い)

クライマックスがイマイチ迫力不足。説得力が無い。イベントをつないでるうちに終わっちゃいましたって感じ。もう少しなんとかならんかったのだろうか?

10月28日(日) 「リリィ・シュシュのすべて」 監督岩井俊二
シネマライズ渋谷

見終わってしばらく、顔が歪んだままで渋谷の街を歩いていた。

まぁ想像はしていたがその痛々しさといったらハンパでは無かった。

なぜ、岩井俊二はこれほど痛々しい作品を撮らねばならなかったのだろう?

そしてなぜ14歳で無くてはならなかったのか?
 
「四月物語」はしょうがない失敗作だったと思うし、岩井監督の才能もピークを越えたかと思っていた。新作に時間がかかったのはスランプで動けなくなっているんだとも思っていた。

この作品は正直言うとそれほど完成度が高いとは思えない。変に長くって全体の間も悪い。だが1つ1つのシーンが余りに痛く、邪悪で、それに美しすぎる映像をからめるとなんとも哀しいような、痛々しい効果発生している。徹底的に無力な雄一と、悪の帝王星野。きっかけなんてささいなこと。そしてどちらも心にキズを持つ。いや14歳の登場人物すべてがキズを持っている。持っていないのは大人だけだ。キーになってるのは星野と津田の2人か。

思春期と言っても「ヴァージン・スーサイズ」のような甘美性など無い。思春期というとどこかに特有のノスタルジーが混じりがちな中で、ここにあるのは徹底した現実だけだ。ここまで冷淡に描ききった作品は見たことが無い。なぜここまで描く必要があったのか?やはりそこが問題だ。

「これを遺作にしてもいい」なんと無くわかるような気がする。ここには14歳という多感な時期に感じることのできる可能な限り全ての痛みが描かれているような気がするのだ。すべての痛みを描く。それは紛れも無く表現者として求めうる究極の到達点の一つだろう。だが描くべき痛みは他にもある。この作品をステップに次の痛みを表現して欲しいと思う。

11月11日(日) 「蝶の舌」 監督ホセ・ルイス・クエルダ
シネ・スウィッチ銀座

もう少し救いがあるのかと思っていた。
残酷な結末だった。

人って醜い。弱い。悲しい。

前半の老教師と少年のふれあいが後半の残酷さを一層印象付ける。ラストはそれほどくどくない。ただ淡々と事象をおいかけていってるのが逆に冷徹さを醸し出しているようだ。ラストの少年の言葉は残酷だ。そして彼の中のどうしようもない気持ちも。どうしようも無く哀しい。それしか言いようが無い。スペインはこの後暗黒の時代へと突入していく。そこでは老教師はもちろんモンチョ一家の行く末すらわからないのだ。

なぜ人は戦うのだろう?当時も今も。

11月11日(日) 「オー・ブラザー」 監督ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン
銀座テアトルシネマ

コーエン兄弟の作品は、それほど好きでは無い。最初に見た作品が悪かった。「未来は今」、最低の作品だった。当時はコーエン兄弟など良く知らなかったが、何でもメジャー進出第一作だったそうだ。まぁ、だいたいインディー系の監督はこれで失敗する。その後コーエン兄弟は復活した。「ファーゴ」は絶賛の嵐だった。だが、残念ながら僕とコーエン兄弟のツボは微妙にずれてるようだ。僕はそこまであの作品に思い入れは無かった。「ビッグリボウスキ」も見ようとは思ってたが結局見逃してしまった。

さて「オー・ブラザー」面白かった。よくできてる。もちろんコーエン兄弟の得意なあのノリも随所に取り込まれてるのだがそれがくどいレベルまで行ってない。なので僕でも楽しめた。全体のストーリーも比較的単純だ。コーエン流のひねりを抜いたらハリウッドでやりそうなストーリーかもしれない。主役の三人は十分すぎるぐらい上手かったし、上質のエンターテイメントだ。

またラストのシカケが大げさで笑えた。まったくこれぐらいバカバカしいと、ケチのつけようが無いじゃないか。

11月17日(土) 「ウォーターボーイズ」 監督 矢口史靖
 
渋谷シネアミューズ


前半×後半◎といった感じ。

映画なんだから別にリアリティーが必要だとは思わないが、あんまり適当だと感情移入ができない。
矢口監督のコメディーセンスは高く評価してるが、今回は適当が過ぎた。スポ根は要らないがそれにしてもありゃちょっといいかげんすぎた。窓ふきで腕力つけるなんて、「ベストキッド」のパクリか?見ているうちにだんだんバカバカしくなってきて、こりゃハズレだなぁと思ってた。

だが、さすがツボがわかってる監督は違う。最後のシンクロのシーンの見せ方の素晴らしさといったら・・・前半のマイナスを補って余りあるすごさだ。とにかく引き込まれる。客の引き込み方が学びたいならあの映画をみればいい。ほんとに最高のラストだったね。

さぁ総合評価となると難しいところだ。最高・・・ではないな。でも映画館出るとき、気持ちよかったら、それでokだな。やっぱそれが一番大事だ。

11月17日(土) 「アメリ」 監督ジャン=ピエール・ジュネ 
シネマライズ渋谷


初日に見に行く作品っつうのも久しぶりだ。
さすがに話題作だけあってすごい列だ。結局ぎりぎりのところで立見になってしまった。
 
予告編で出てくる少女時代は、本編ではほんの導入部に過ぎないようだ。基本は大人のアメリ。少女時代がそのまま大人になり、臆病で現実と向き合えないアメリの姿が描かれていく。
 
でも決して否定的に描かれてるわけではなく、自分のことには消極的でも周りの人のためにはがんばってしまう、イマドキ珍しいアメリの姿は、最近じゃほんとに見かけなくなったパターンで妙に目新しい。

ギャグセンスは不思議と日本人でもしっくりくる感じ。変てこなしかけがいっぱいなんだけど、一つ一つ丁寧に落としていくあたりはかなりの職人技。一連の人形のネタは最高で、腹抱えて笑った。

中盤ちょっと、たるんだところはあったけど、クライマックスにかけては種明かしが続いて、アメリの初々しさがほほえましくて、おもわずにっこり。もともとは変態ひねくれ系監督ということで、ちらちらその陰は見えるんだけど、全体を覆ってるのは古き良きフランス。さすがセンスが良いです。オドレイ・トトゥは魅力的。きっとみんなファンになるはず。そういや相手役はマチュー・カソヴィッツじゃん。ちゃんと自分の映画も撮れよ〜






              
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