映画



8.至福のとき(2002年中国)
観賞日 H14.11.17(日) 劇場 Bunkamura ル・シネマ
監督 チャン・イーモウ 出演者 チャオ・ベンシャン、ドン・ジエ他
コメント 今度は何とコメディーだ。僕は見たのは「あの子を探して」からだから、貧困、農村テーマの堅苦しい映画ばかりのイメージだったが、もともといろいろ試す監督のようだ。

でもコメディーと言ってもそこはチャン・イーモウ。一本筋が通ってる。根っこはやっぱりチャン・イーモウなのだ。今作も可愛い女の子を引っ張ってきた。女の子と言っても20歳過ぎてるある意味大人の女性なんだが、華奢なスタイル(かなり減量したらしいが)と化粧っけの無い童顔の顔で、とてもそんな年には見えない。そしてやっぱりすごい魅力的なのだ。チャン・ツィイーはイメージの固定化を嫌ってか、その後「グリーン・デスティニー」「ラッシュ・アワー」等、「初恋のきた道」のイメージをたたきつぶして余りある活動をしてるので、オヤジ心にはドン・ジエの方がいいなぁと思ってしまう。

序盤はイライラした中年オヤジ、チャン(チャオ・ベンシャン)の性格も慣れてくると次第に憎めなくなってくる。目の見えない薄倖の美少女イン(ドン・ジエ)との関わりが深まるにつれて、そして能面のようなインの顔がだんだん明るくなってくるにつれて、観客は次第に前作のようなファンタジーを求めるようになる。だが、コメディーだからと言って、のほほんあったかエンディングになるとは限らない。チャン監督は、そこにとても冷徹な結末を用意した。ファンタジー路線に傾きながら、きっちり現実に持ってくる。この辺も前作とはだいぶ違う。

正直言って「初恋のきた道」は主演のチャン・ツィイーがものすごい存在感なのを除いてはそれほどすごい作品だとは思っていない。若い二人の後日談を長々やってくれたもんで、すっかりしらけてしまった記憶があるし、作品自体にとりとめが無い。そういう意味で作品の完成度は今作の方が上だと思う。どこかで言われてたように確かにちょっと地味だが。

7.ラスト・ワルツ−特別編−(1978年アメリカ)
観賞日 H14.10.31(木) 劇場 シアターコクーン(東京国際映画祭)
監督 マーティン・スコセッシ 出演者 ザ・バンド、ボブ・ディラン他
コメント そのときあの人はそこにいた。確かにそこに立っていたのだ。
それは思いがけなく届いたプレゼント。

心の中の好きなアーティストランキングでもう10年以上も不動の1位を続けてるロビーロバートソン。そして映画というジャンルの中では特殊な分野だが、僕の人生に一番影響を与えたというなら間違いなくNo.1フィルム「ラスト・ワルツ」。両方一度に見られるというすごい企画を東京国際映画祭は実現してくれた。

前から思っていたのだが、この作品はとてつもない奇跡が重なって生まれた傑作なのだということを、今日改めて大画面で、大音響で見て、そしてロビーの話を聞いて思った。

最初はただの解散コンサートだったそうだ。だが、やっぱり解散というにはお世話になった、ボブ・ディランとロニー・ホーキンスは呼ばなくちゃいけない。いやディランを呼ぶなら自分達の一番のサポーターだったクラプトンやヴァン・モリソンも・・・あとは勝手にふくれあがっていき、最早メンバー自身にも制御の効かない雪だるま状態だったそうだ。このバンドをリスペクトする人達の数だけコンサートは膨れ上がっていったわけだ。そこに傑作「タクシードライバー」で名をあげていた当時新進気鋭のマーティン・スコセッシが乗っかって、単なるライブ・フィルムでは無い、映画としても十分な要素が加わった作品になっていった。

ヴィデオは持ってるので作品自体はもう何十回も見ている。映画館で見るのも今回が初めてじゃない。だが、THE BAND はもちろんのこと登場するゲストの曲も何度見ても素晴らしい。ヴァン・モリソン、ジョニ・ミッチェル、ニール・ヤングそして極めつけはマディ・ウォーターズ。まぁ実際のところちょっとでもロックというものがわかっている人なら、全く信じがたいメンツだ。そしてメンバーもゲストもみんな楽しそう。音楽はこういうふうに楽しむのだというスタイルを、みなそれぞれ THE BAND という偉大なバックバンドを従えて表現していく。もちろん実際はTHE BAND の内部でも、ロビーと他のメンバーとの溝は致命的なぐらい大きくなっていた。映画の後半部分にはそれを暗示するシーンも出てくる。解散するにはポジティブな理由よりもネガティブな理由の方が大きかったのだろうと思う。だがステージ上ではそんな葛藤などみじんも無い。どこにそんな溝があるんだろうと思えるほど最初から最後まで自由でいて完璧な演奏が続いていく。

今日の会場は僕を含め、THE BAND のファンで埋まっていたようだ。マイペースで人前にめったに姿をあらわさないこの男を一目生で見たかったに違いない。フィルムにもかかわらず一曲一曲の終わりには拍手が起きていた。みんなできることならコンサートのまさにその場にいたかった連中ばっかりなのだ。ロビーはさすがに年食ってちょっとお肉もついて、フィルムで見られるような精悍さは無かったが、その落ちついて、ゆっくり丁寧に話す話し振りは間違いなく期待を裏切ることの無いロビーだった。ラスト・ワルツは音楽史に残る偉業だと言い切るのだが、その話し振りにみじんもおごりが感じられなかった。まるで宇宙の法則でも語るかのようにあたりまえ風、そうまるで彼自身のギタープレイのように淡々と言い切った。

ギタリストというものは、まず間違いなく自意識過剰で、自己顕示欲が強く、わがまま。別に首切り魔リッチー・ブラックモアを例に出さなくってもみんなそうだ。ところが彼は常に全体の流れを第一に、必要とみれば過不足の無いソロをはさみ、見事にまとめあげていく。ピッキング・ハーモニックス奏法の発明者にして実に渋く、クール。だが、ソロになってからはその自己主張性の無さが災いしたのか、全体に出来はイマイチで、口の悪い連中からは「THE BAND解散以降は何一つクリエイティブな事をしていない男」とまで言われる始末。世の中うまくいかんもんだ。

作品中で、ロビーは「16年やって怖くなった」と言った。「バディ・ホリー、オーティス・レディングなど偉大なアーティストはみな死んだ、自分達はそうはなれない」と。だが、86年ごろメンバーのリチャード・マニュエルが自殺、2〜3年前にリック・ダンコも死亡。最早再結成は望むべくも無い。結局 「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」でシーンに踊り出て、「ラスト・ワルツ」で終わるまでのTHE BAND はメンバーそれぞれにとってもいろんな意味で間違いなく頂点だったのだ。

30半ばの男がこの日のイベントのために、昼過ぎから仕事が手につかなくなり、自然と口をついてくる鼻歌は THE BAND の曲ばかり。終業と同時に会社を飛び出し、渋谷に直行。ボブ・ディランの「FOREVER YONG」ではいろんな思い出がよみがえってきて少し涙ぐんでしまった。生まれて来て良かったと思うことなんてそんなに無い。でもこの作品に出会えたことは間違いなくそんな数少ない良かったことの一つだ。今日コクーンで過ごした2時間ちょっとの時間は間違いなくスペシャルだった。このイベントを企画してくれた東京国際映画祭のスタッフに心からお礼を言いたい。


6.Dolls(2002年日本)
観賞日 H14.10.27(日) 劇場 大宮ロキシー
監督 北野武 出演者 西島秀俊、菅野美穂他
コメント 日本の美しい自然をバックに北野武流の愛の形をつづっていく。
狙いはほぼ達成されているんじゃないだろうか?

では何が気に入らない?う〜ん、まず深田恭子・・・はやっぱちょっとイマイチだった。っていうか設定が3つのエピソードそれぞれに無理ありすぎるのだ。それがどうもしっくりこない。衣装はちょっと狙いすぎ。まぁこのへんリアリティーをとるか設定をとるかで難しいところだけども。次に、もともと北野武のギャグセンスは積極的に嫌いなので、あのホーキング青山のノリが好きになれない。そしてお得意の暴力シーンをおさえてるがゆえに展開に緊張感が無い。眠い(笑)。画像はいつもどおりクールなんだけど、どこかぼやけてるのだ。とどめはエンディングがイマイチだった。最後のシーンは浄瑠璃にかけて人形っぽい見せ方にしたかったのだろうか?おかげでずいぶんウソくさく見えてしまったもんだ。あそこまでひっぱってあれだったら、雪の世界のエピソード全部切ってしまって良いぐらいだ。

もちろん良いところもある。設定は強引だったが、主演二人はよくがんばっていた。西島秀俊の方が存在感があって良かったけども、菅野美穂も見事。ペンダントのシーンで見せた笑顔は間違いなく素敵だった。2番目のエピソードの三橋達也と松原智恵子の中年二人はもちろん期待通りの素晴らしい演技だった。ストーリーやそれぞれのエピソードの絡ませ方は相変わらず絶品。このへんはさすが北野マジック。心の傷をたんたんと、そして切実に描き出していく。

久石譲の音楽をおさえ気味にしたのは大正解。「菊次郎」と「BROTHER」では明らかに演出過剰。今回の使い方はとてもよかった。

全体としてはうまく作ってると思う。予告編から予想していたイメージとそんなに違いは無かったし、決して駄作では無いと思う。いけてないところは、新しい方向を模索した分消化しきれてない部分が残ったとかそういうことなんだろうと思う。さぁ次作はどんな見せ方をしてくれるんだろうか?


5.アイ・アム・サム/I am sam(2001年アメリカ)
観賞日 H14.7.27(土) 劇場 新宿松竹会館
監督 ジェシー・ネルソン 出演者 ショーン・ペン、ミシェル・ファイファー、ダコタ・ファニング
コメント まぁ予想はしてたけど、実際すさまじいまでに完璧な演技だ。さすがハリウッド1の演技力。ショーン・ペン様のお通りだい!

ショーン・ペンに負けてないのが子役のダコタ・ファニング。これがまたすごい。姿形は子供でも中身は大人。頭の良さ、勘の鋭さ、表情の良さ。どれをとっても超一流。全く恐ろしい親子だ。

さすがにこの2人ほどのインパクトは無いけど、ミシェル・ファイファーも複雑な性格の弁護士役を見事に演じきっている。演技についてはどの役者もとにかくすごい。これだけですでに凡作になりようが無い。

しかしなんで、この真摯すぎる偉大な父親はホームレスの女と子供をもうけてしまったのだろう?それに、もはやビートルズの音楽にはうんざりだ。いやビートルズの曲はもちろんいいんだけど、それを安直に使いすぎ。良い音楽はビートルズだけじゃないぜ。あと、審理風景を細かく描いた割に終わり方が唐突。そして何よりこの親に子育てができるのかという根本的なところで考えてしまう。検事役のリチャード・シフが、憎まれ役を演じながらも、言葉の端々に彼なりの愛情が感じる見事な演技で、見てるほうはかえって悩んでしまった。


4.「ピンポン」
観賞日 H14.7.21(日) 劇場 銀座テアトルシネマ
監督 曽根文彦 出演者 窪塚洋介、ARATA、大倉孝ニ他
コメント 満員御礼。人であふれかえってた。

そりゃもう期待してましたわ。松本大洋原作、宮藤官九郎脚本、窪塚洋介主演とくれば期待せんほうが無理っていうもの。これだけ旬をそろえた作品なんてなかなか無い。

でまぁ単刀直入に感想を言えば、ちょい「イマイチ」
娯楽作品としては十分すぎるぐらい面白いんだけど、それだけ。これだったら他のメンツでも作れそう。ストーリーを追いかけるだけっていう一番はまりがちにな陥穽にこれもはまってしまったということか。がんばってまとめてるんだけど、それでも厳しい。当初案に比べるとセリフを半分に削ったそうだけど、さらに半分ぐらい削る必要があるかもしれん。スジ追いかけるのに手一杯で人の掘り下げが足りないんだな。特訓とかイベントも安直だし。

一番光ってたのはアクマ役の大倉孝ニか。やはり期待通り。なんか一番美味しいところを持っていってのもこの人だった気がする。スマイルのARATAもキャラをはっきりさせてたよな。「ワンダフルライフ」以来見るのはひさびさだ。しかしスマイルってARATAの地に近いんじゃなかろうか?

音楽とCGは特Aクラス。CGも実写と組み合わせてここまで違和感ないレベルに来たのかって感じ。さすが「タイタニック」のCG係だけのことはある。これだけでも一見の価値あり。テクノは・・・すごいです。今まで過小評価していてすいません。「スーパーカー」最高です。すごすぎ。

しかし、この作品「大人計画」の人がずいぶんかかわってるぞ。脚本の宮藤官九郎だけかと思ったら、親分松尾スズキはちょい役でちゃっかり出てるし、脇で荒川良々もいい味だしてるし。ついでに阿部サダヲにも出てもらいたかったくらいだ。他にも大倉さんは「ナイロン100℃」だし、元「惑星ピスタチオ」の人もいる。旬モノに小劇団系はキーポイントになりつつあるのかもね。

おっと窪塚君。やっぱいい。おかっぱ頭もわけわからん方言も。やっぱあんたはヒーローや。


3.ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ
観賞日 H14.7.21(日) 劇場 新宿武蔵野館
監督 ジョン・キャメロン・ミッチェル 出演者 ジョン・キャメロン・ミッチェル他
コメント 遅ればせながらやっと見れた。

当初イメージは「ヴェルベット・ゴールドマイン」みたいな感じ。あの作品はイマイチだった僕としてはこの作品もそれほど期待してたわけじゃないのだ。(でなけりゃもっと前に見に行ってる)ロック系で話題作だし、おさえとかないといけないけど、がっかりするんだろなぁと思ってた。

んが、違った。わけわからんと言えば確かにわけわからんのだけど、とにかく良かったのだ。ストーリーなんてあって無いような感じ。つまるところヘドウィグの悲惨な過去とぼろくその現実を観客に刻み付けるに必要十分なだけ。

ミュージカル仕立てなんだけど(ていうかもともとミュージカルの映画化)、その音楽が素晴らしい。魂の入ったロックンロール。これが最大の勝因だと思う。マジでサントラを買いたいという気になった。未だに♪8トラック〜の曲が頭を回ってる。

ヘドウィグ・・・性転換手術に失敗。股間には醜い1インチの痕跡が残った。哀しさと根性とヤケクソと執念深さといじらしさと優しさその他もろもろ抱え込んで文字通りのたうちまわってる。とにかくガツンとくる。正直これほどの作品とは思わなかった。


2.少林サッカー
観賞日 H14.7.9(火) 劇場 東劇
監督 チャウ・シンチー 出演者 チャウ・シンチー、ヴィッキー・チャオ他
コメント おバカ。おバカでも突き抜けるとすごい。そんな作品。

展開はスポーツものにありがちと言えばありがち。定番パターんで見せるなら、あとはどう見せるかにかかってくるが、これはその点徹底してる。テーマを「キャプテン翼」から引っ張ってきてるだけあって、日本人にもわかりやすいノリ。まんま日向のタイガーショットを始めどっかで見たような技がちらほらと・・・

最初は、やたら貧乏くさい展開で、さすがにちょっと辟易した。こりゃハズレかと思ったぐらいだ。メンバー全員がサッカーなどとてもやりそうに無い連中。なんぼ少林拳の達人だとは言ってもねぇ。モノには限度あるでしょ?って感じ。フィクションは多少は本当らしい部分があって感情移入できるけど、これはあんまり極端すぎる。おまけに6人で試合やっちゃうし、オフサイドは無いし、さすがにちょっとサッカーなめ過ぎ。

でも結局試合がすべてなのだ。このボロクソ少林チームが勝ちあがっていくにつれて、そんなことはどうでも良くなってくるのだ。見せ場はやっぱり決勝戦。とにかく今までの貧乏くささがウソのような全開モードで、CGもばしばし効いてるし、、どんどん引き込まれて行っちゃう。こりゃ「ウォーターボーイズ」のウライマックスにも匹敵する爽快感。

すでにパート2も決まってるらしい。このボロクソ野郎どもが次にどういう活躍をするのか、こりゃ確かにどこぞのSFチャンバラ映画のパート2よりは面白そうだぞ。


1.ノー・マンズ・ランド
観賞日 H14.6.9(日) 劇場 シネアミューズ
監督 ダリス・ダノヴィッチ 出演者
コメント 「アメリ」を落としてオスカーを獲得した作品。

それも気になったし、もちろんいくつかのテレビで紹介されていた断片シーンも気になっていた。なにしろ半年以上ぶりなのだ。間違いなくそれだけ見たいと思わせる作品だったのだ。

期待通り、いやそれ以上の作品だった。だいたい作品を見るときには「このぐらい」ってアタリをつけて見に行くんだけど、高めだった期待をこれはきっちり越えていた。セルビア・ボスニア紛争をテーマにした作品はクストリッツァやアンゲロプロス、マイケル・ウィンターボトムなど錚々たる監督達が撮ってるが、この名も無く経験も少ない監督の作品はたぶん一番一般人に訴えかける内容をもってるんじゃないだろうか。何をもって評価の基準にするかは難しいし、これが過去最高の映画だと言う気は無いんだけど、ただ一つ確かに言えることは、この作品は全ての人が見なくちゃいけないんじゃないかということ。このコメディタッチの戦争映画はヘタなドキュメンタリーより、ずっと説得力をもって訴えかけてくる。最初の設定はかなり強引だけど、その後の展開はリアルそのもの。愚かなのは内戦で戦っている国だけでなく、国連やメディアなどの関係者全て含めて愚かなのだ。

一つ一つのセリフもとても考えられていて、意味深い。「なぜお前らはこの美しい国を破壊した?」わからないのだ。誰にもわからないのだ。確かなことはそこで戦っているという事実だけ。チキもニノもツェラももともとは同じ国で一緒に暮らしていたはずなのに。人はなんて罪深くって哀しい生き物なのだろう。とにかく必見の作品だ。






              
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