演劇


13.「ビューティフル・サンデイ」 
観賞日 2003/9/28(日) 場所 俳優座劇場
脚本演出 作:中谷まゆみ 演出:板垣恭一
出演 小須田康人、武田光兵、長野里美
コメント ラストシーンか。確かにこの作品のラストシーンもハッピーといえばいいのかよくわからない。ちらしに書いてあった演出家のコメントを読んで、少し考えた。この作品も「今度は愛妻家」も前向きな終わり方だったが、その前途は決して平坦ではないことも暗示してる。そしてこのラストがあるからこの人の作品は人気があって、なおかつ評価も高いんだと思う。ありきたりのハッピーエンドはその場は良くても残らない。

この作品は寂しさとか傷みを、ときにおしつけがましくなく、ときにどきっとするようなやり方で巧みに表現してるから好きだ。すごく不器用で優しい。なんだかジャームッシュの映画みたい。

それにしても、ちひろはこの後どうやって生きていくんだろう?浩樹は死んじゃうのだろう。そして残された秋彦は?でもそれを不幸にするのも新しい機会にするのも結局は自分の気持ち次第なのだ。幸せとかそういったものは訪れるのを待つのでは無く、自分の手で作っていくもの。そこで見るものとの間に共感が生まれるわけだ。僕はこの先どうやって自分の生き方を作っていくのだろう、周りに流されずに。


12.「オールディーズ・バット・ゴールディーズ」 劇団M.O.P.
観賞日 2003/7/26(土) 場所 紀伊国屋ホール
脚本演出 マキノノゾミ
出演 キムラ緑子、三上市朗、酒井高陽、山内圭哉
コメント さすがに長いことやってる劇団は上手い。
なんだこの小劇団とは思えない安定感は?

銀行強盗が強盗に入った先で包囲されて出られなくなり、行員を人質にたてこもる。そうこうしてるうちに人質との間に奇妙な関係が生まれ・・・。なんて「スペース・トラベラーズ」あたりとちょい似てるけど、この作品の場合その人質の中に警視庁の警部が入り込んでくるところで展開がちょっと変わる。

なんせ時代設定が70年代なもんで、安保だの全共闘だのともはや死語に近い言葉がぼろぼろ出てくるし、犯人の要求は佐藤栄作のノーベル平和賞辞退だ。まぁ舞台設定が韓国で、犯人が金大中のノーベル賞辞退を要求するなら、少しは身近な感じもするだろうが、いまどき佐藤栄作なんて覚えてる人間なんかいるか?

でも70年代がネタな分、戦争体験をネタに使えるってのは強いなぁと思う。実際のところ団塊の世代なんていまどきのガキとそんなに変わらんし親子を対比するには弱いよな。その点特攻隊をネタにできるところで話にメリハリが出る。でもまぁこうやって見てると大人と若者の関係ってのは実はそんなに変わってないってのがよくわかる。

話自体はなかなか良く出来ていて完成度が高い。もちろん役者も上手い。どこまでこの世代のネタで訴えかけたいのかがよく見えないので、そこがちょっと消化不良だったけど。あ、あとちょっと暗転が多すぎ。分刻みの切迫感を出すにはいいのかも知れないけど、死んでるエポソードみたいのもあるし、逆にばたばたしてしまった気がする。せいぜい4回ぐらいにまとまるようにしてほしいなぁ。ま、次回作品で仕切りなおしと行きたいところ。
11.「リチャード三世」 演劇集団 円
観賞日 2003/7/12(土) 場所 紀伊国屋ホール
脚本演出 作:ウィリアム・シェイクスピア 演出:平光 琢也
出演 金田明夫、木下浩之、石田登星、佐々木睦
コメント う、うまい・・・。
さすが新劇、感性垂れ流しの小劇団系とは一味も二味も違う。作品全体がよく計算されていて、全く隙が無い。小劇団系の演技力も構成力も無い、モロ内輪受けな世界に慣れたモノとしてはある意味新鮮だ。こりゃプログレとパンクの構図だな。何?わかんないって?

以前「天保十二年のシェークスピア」を見たことがある。シェークスピアのほとんどの作品をなんらかの形で取り込んでいるというふれこみだったが、あれの根幹になるストーリーは「リチャード三世」から来るものだったというわけだ。このリチャード三世という人物、かなりの悪党なのだが、確かにとても魅力的だ。シェークスピアものを続けて見たが、今ちょっと「シェークスピアってすごいんじゃない?」モードだ。言葉遊びがくどいようなところも確かにあるけれど、人間洞察力の鋭さは驚くばかり。今この時代の人間性といっても十分通じる感性。驚くばかりだ。

主演の金田さん、最初のセリフでちょっととちったので、大丈夫かと思ったけど、のってくれば全く危なげない。あれは役者なら一度はやってみたい役だね。照明の使い方が良かった。音楽はストーンズの「黒くぬれ」とかクィーンの「セイブ・ミー」とか、もろそういう場面で使ってちょっと直接的すぎるような気もした。ここらへんもうちょっと垢抜けると良い気がするね。

僕はプログレもパンクも好きだし、対応力の高さが持ち味。この劇団はもっといろいろ見てみたいしもちろん小劇団系もこれからもっといろいろ見たい。
10.「ゴーストライター」 G2プロデュース
観賞日 2003/6/28(土) 場所 紀伊国屋ホール
脚本演出 G2
出演 三上市朗、関秀人、久保田浩、コング桑田、武藤陶子他
コメント 最近G2がらみのネタはチケだけおさえて、仕事の都合とかで流しまくってた(「BIG BIZ」「地獄八景亡者戯」「BIGGER BIZ」となんと3本も。)でも、今日はふらふらっと当日券で鑑賞。

G2モノは細かいところであれ?と思うような小さなほころびは何箇所かあったりするけど、ストーリー自体はいつもなかなかよく出来てる。今回はちょっとシリアス系だが、キャラメルボックスあたりだと同じような内容で大号泣モノに仕立ててしまいそうだが、そこはG2、安易に感情に走ったりしない。ギャグの切れはいつもながら一級品。まぁ腹筋とかコングとかギャグ達者どころをそろえてるし、そのへんも抜かりが無いね。コングの歌を聴いてる間だけ生身の人間になるとか、幽霊状態の設定がかなりアバウトとか「適当やな〜」と思うところも多いけど、まぁまぁ楽しめたので許す。とりあえずG2モノは定期的におさえておきたいよなぁ。

9.「雲のゆくえ」 ザ・コンボイ・ショウ
観賞日 2003/6/22(日) 場所 青山劇場
脚本演出 今村ねずみ
出演 今村ねずみ、瀬下尚人、舘形比呂、石坂 勇他
コメント 見る前のイメージとぴったりくる部分もあれば予想外な部分もあった。しかし何といってもメンバー6人の芸達者ぶりは驚きの一言。芝居はもちろん普通に踊ったり、タップやったり、バンドやったり、和太鼓たたいたり、いったいいくつ技を持ってるんだ?って感じ。それをまぁ3時間以上かけてたっぷりやってくれるのだ。やっぱり人気を得るためには努力が必要ななんだということを心底感じた。まさに芸人魂。

正直言うともっと洗練されたスタイルなのかと思ってた。でも、音楽の趣味やノリもすべて一昔前のテーマ。いちおう芝居のパートとショウのパートがおおまかにわかれていているんだが、芝居のノリは今は亡きカクスコ。カクスコの幅を大幅に広げるとこんな感じになりそう。大人6人が集まってああでもないこうでもないとぐだぐだくだをまく。ストーリーはあって無いような感じ。そういえば観客の平均年齢も高めだ。

仕切ってる今村ねずみという人が45歳という非常にびみょ〜な年なので、それが作品にも現れている感じだ。個人的にそんなに趣味というわけでは無いが、そのスピリットだけでも、払った金以上のものは見せてくれる。演劇にもいろんな形があるなぁと再認識させてもらった。
8. 「ハムレット」 
観賞日 2003/5/31(土) 場所 世田谷パブリックシアター
脚本演出 原作:W.シェイクスピア 演出:ジョナサン・ケント
出演 野村萬斎、篠井英輔、中村芝のぶ、吉田鋼太郎、増沢望他
コメント 10年ほど前のNHKの大河ドラマで「花の乱」というのがあった。三田佳子が日野富子役で主演だったのだが、だいたい日野富子などという人物にほとんどの人は思い入れもあるはずが無いので視聴率は悲惨だったはずだ。僕もあまり興味も無くときどき見る程度だったのだが、そのうちとある登場人物の演技にひきつけられるようになった。応仁の乱の一方の大将細川勝元を演じるこの俳優は、まったく知らない俳優だったが、とにかく芝居がかった角のたった演技で、見るものを惹きつけずにはおらなかった。当時演劇を見る習慣も無く、作品は総合的な評価で、個々の役者を判断するような見方をしていなかった僕は、このときまさに初めて、役者の演技というもので作品を見た。

とにかく毎週その俳優の演技だけを楽しみに欠かさず見るようになった。そしてその俳優がストーリーの表舞台から姿を消したのと同時に見るのをやめた。その当時、オープニングの役者紹介で名前を確認した以外、この俳優について何もわからなかった。まだインターネットも無かったし。

数年後、僕はこの俳優の名前を意外な記事で見かけた。そうこの俳優は純粋な俳優では無かった。本職は何と狂言師だったのだ。あの演技は狂言から来るものなのだとこのときやっと納得がいった。そしてやはり世間はあれほどの男を放ってはおかなかった。

朝ドラで一気に知名度を全国レベルにし、その後狂言の枠を超えたマルチな活動を見せる野村萬斎。役者に惚れたという意味なら野田秀樹より前なのだ。以前からずっと生で見たかった。だが、いまや片手間でチケットを確保できるような人では無い。今回やっとプラチナチケットを確保して生野村を見る機会に恵まれたというわけだ。

シェイクスピアを見るのは実は2回目、悲劇となるとこれが初めて。ま、早い話がシェイクスピアについて語る資格は無いというわけだ。幸い原作を読んだことがあるので、さほど違和感は無かったし、ベースとなるストーリーがシンプルなので、おいていかれることも無い。舞台美術はカネもかかってそうだし、展開、見せ方の上手さはさすがの一言。

野村萬斎の演技自体は、すでにかなり露出もされているし、演技についてもある程度予想はついているわけで、初めてドラマで見たときのような衝撃は無かったが、さすがに見事な演技だ。だがぶっ飛んだのは中村芝のぶ。今回は役者全員男なんだが、さすが歌舞伎の女形とは言えほんとに女にしか見えない。なにせ声が・・・。

前半は少しアクビの出る展開だったが、クライマックスはさすがだ。ひろがりを感じる表現では無かったが、その代わり凝縮感がただよう表現で、古典も悪くないと納得させるに十分。う〜ん人間描写がすごい。時代など関係無く本質をとらえきってる。これだから世界スタンダードなのだ。やはり残りの悲劇も見ておく必要がある。食わず嫌いはいけないもんだ。
7. 「エレファント・バニッシュ」 
観賞日 2003/5/31(土) 場所 世田谷パグリックシアター
脚本演出
出演
コメント
6. 「オイル」 NODA・MAP
観賞日 2003/5/24(土) 場所 シアターコクーン
脚本演出 野田秀樹
出演 松たか子、藤原竜也、小林聡美、野田秀樹、橋本じゅん他
コメント これは反戦ソングに違いない。
そして弟を思う富士の思いに違いない。
また平和ボケ日本に対する怒りに違いない。

アメリカという名の幻想。そして平和ボケから依然立ち直れないまま有事関連法案を通してしまった日本人。コメディだったら笑える。でもこれは現実。

野田は何を言いたかったのだ?憎悪か?奴は好戦主義者だったのか?
いや、違う。きっと日本人に対するやり場の無い怒りと悲しみだ。何でもきれい事と事なかれで済ましてしまう、日本人への。野田秀樹という、闘将の前においてはなんともふがいない国民だろう。彼は(未完)


5. 「弁償するとき目が光る」 演劇弁当猫ニャー
観賞日 2003/5/11(日) 場所 本多劇場
脚本演出 ブルースカイ
出演 池谷のぶえ、小村裕次郎、乙井順、立本恭子他
コメント 本多劇場って久しぶり。
ブルースカイの名はこれまでも何度か耳にしていたが、ここのを見たのは初めて。ギャグのレベルは高く、思わずうなるようなセンスの良さもあるんだけど、なんていうか垂れ流し状態で、しかも再演にあたってわざわざ大幅に上演時間を延ばすなんていう念の入れようで、ずっと聞いてるのは拷問に近いものがあった。

おもしろいギャグなのに客をつかみきれてない。悪く言っちゃ自己満足気味のところがある。感性垂れ流し状態じゃなくて、もっとメリハリと構成考えてシンプルに作りましょう。ああいったギャグ系なら1時間半ぐらいでかちっとまとめないと。せっかくの才能がもったいないっすよ。
3,4. 「オイル」 NODA・MAP
観賞日 4/12(土),5/10(土) 場所 シアター・コクーン
脚本演出 野田秀樹
出演 松たか子、藤原竜也、小林聡美、野田秀樹、橋本じゅん他
コメント 3回あるけど2回目まででいったん整理。

1回目は失敗作かと思ったけど、予想通り2回目はだいぶ印象が違った。っていうか1回目は言ってなかったことけっこう言ってる。う〜ん、1回目って内容がどうこうって言うより根本的に役者のセリフ覚えが怪しかったんじゃなかろうか?

さて今回、誰が何と言おうとこの作品は松さんのもん、すごすぎる。1回目でもすごかったけど、2回目はさらにすごくなってた。今回は席も前から4列目と距離は近かったので、じっくり観察させてもらったけど最後は迫力で腰が抜けたようになってしまった。

さて、内容について。
この国はいつからこんなキレイ事だけでやっていける国になったんだろう。確かに世界史的に見ても珍しいかもしれない。原爆で大量殺戮されても、誰もアメリカを恨んじゃいない。ヒロシマにしたって核兵器廃絶は訴えてもそれはアメリカ責任追及には向かっていない。確かに特定国の責任を追及しても不毛だし、それはそれで立派なことではあるんだけど。

同じアジアに目を向けたって、中国や韓国の執念深さに比べるとこの国のあっけらかんさと言ったら・・・。だが、ほんとにそれでいいのか?いや、自国のことだけならまだしも、この国は他国もそのものさしで理解しようとする。武器を持って戦わなくても、みんな平和になりたいと思えば平和になるとジョン・レノンばりのお気楽平和理論がまかりとおっている。

今回の野田は僕がもやもやと感じていたことを見事に形にしてくれた。僕が日記上で吠えていたことをまたしても具体的に表現してくれた。アラスカへの言及といい、ほんとうちのページを参考にしたんじゃないかと思ったぐらい(ありえんが)。

それにしても今回のテーマはかなり直接的だ。かなりやばいことも言ってる。この中年オヤジは今でもめいっぱい吠えてるのだ。こりゃ若いもんも負けちょれんよ。
2.「太陽まであと一歩」 キャラメルボックス
観賞日 2003/3/16(日) 場所 サンシャイン劇場
脚本演出 成井豊
出演 上川隆也、西川浩幸、岡田達也、小川江利子他
コメント いつもとちょっと肌触りが違う。やはりキャラメル・フューチュアリング上川隆也といったところ。西川浩幸もいつもと微妙に違う役をこなしてる。最近のキャラメル作品では必ず主役級の岡田達也と大内厚雄も今回は脇を固めてる。

上川用のスペシャル布陣の中で上川の演技はキャラメルそのもの。「天保十二年のシェークスピア」のときのような切れた演技はかけらも無い。上川本人の感情など知る由も無いが、彼にとってキャラメルというのはやはり今でも特別なのだろう。今回は話の広がりも無いし、おなじみ時間旅行も使いあきた手法で、上川である必然性はそれほど感じなかった。
あと兄弟の分担がややこしかったぞ、どっちが何をしたのかもうちょっとわかりやすく描いた方がいい。

何がむかつくって、公演中ずっと体を起こして前に乗り出して見てた女。それやられると後ろの人間は舞台が見えなくなるのだ。普通にもたれてみるとステージ中央はすべてアタマで隠れてしまう。上川さんも大事かもしれないが、もうちょっと周りの客席にも気を配って欲しいものだ。最低!最低!

う〜ん上川呼んでやるにしては歯ごたえなし。素直に時代劇でもやった方が良かったのでは?
1.「オケピ!」 パルコプロデュース公演
観賞日 2003/3/15(土) 場所 青山劇場
脚本演出 三谷幸喜(音楽:服部隆之)
出演 白井晃、天海祐希、戸田恵子、布施明、寺脇康文、小日向文世他
コメント やはり再演というのはどうしてもオリジナルとの比較になってしまう。真田広之は不世出の役者だと、つくづく思う。あの白井晃をもってしても真田の存在感は出せない。いい悪いは別にして、圧倒的。
白井晃のコンダクター役は、個性が薄い分、周りの役者が浮かびあがる。三谷組とでも呼べそうなキャストで基礎を固めてるから、お互いの気心もしれてるのだろう。みんなで作り上げるという感じが良く出ていると思う。
天海祐希は松たか子より芸域が広いから、いろんな使い方ができる。今回は確実にハープ役のハバが広がったと思う。これだけ器用な役者だと、これからもいろんな役に使われていくんだろうな。もっとも今回のハープ役はお嬢様悪魔なので、天海だとちょっと世慣れた感じが出すぎたかもしれないけど。

人生はラヴェルの「ボレロ」と同じだ。人生に劇的な変化なんて無いのだ。ささいな小さなことの積み上げが、振り返ってみたらとても遠いところにいる自分に気づくのだ。だからこの作品にも劇的なラストは無い。ミュージカルの間にほんの少し人生経験を積んだオケピの人たちが、それをもとにまたそれぞれの人生を生きていく。見ている我々も同じ。そういうことなのだ。

「どうでもいい曲を除いたら「キャッツ」は「メモリー」しか残らない。」今回も言ってた。ブロードウェイ作品に対する盲目的な信奉がある日本の現状に対する直接的な批判なのだろう。

総合点ではオリジナルに軍配があがりそうだ。だからといって、この作品が悪かったわけじゃない。較べるのが間違ってるのかもしれない。なんたって「オケピ!」はいつだって楽しいのだから。



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