1.雨模様
  翌日は雨、なかなか素敵に降っている。

日程も終わりに近づいてきた。まだシェーンブルン宮殿しか見ていないし、今日は旅の目的の一つ美術館を周らねばならない。雨だからといってうだうだしてるわけにはいかない。

まずは分離派の総本山セセッシオン・・・ちょっと待て(笑)今回の旅の目的の一つはオペラ、それにまだ僕は国立オペラ座でオペラを見ていない。だが、一つ問題があった。この週のウィーンの主要な劇場のプログラムはすでにチェック済だったので、国立オペラ座のこの日の演目がオペラでは無くバレエ「お気に召すまま」であることはすでに知っていた。知っていたらこそ昨日のオペラ「ファルスタッフ」に何とか間に合わせたかったのだ。バレエは過去に1度見たことがあるのだが、実はちょっと寝た・・・ことがあって、あまり気持ちがすすまなかった。
3.美術史博物館
  そのまま歩いてすぐ近所にある美術史博物館に移動。

世界三大美術館の一つ評されるぐらいで、さすがセセッシオンのように見るものに困ることは無い。オーストリアが世界に誇る美術品の数々が収蔵されているのだ。

古代エジプトやギリシャ関係の遺跡にさほど興味はわかず(こういうのはルーブルの方がすごい)、とっとと主目的の絵画に移動する。

正直言って、ここにある作品群には造詣が深くない。僕のメインはあくまで印象派後期以降である。なので知らないアーティストも多い。だが、傲慢を承知で言うなら、この美術館はペーテル・ブリューゲルの作品を見るためにあるような気がする。現存するペーテルの作品の1/4はここにあるそうだが、普通の農村風景、スケールの大きな空想絵画、「子供の遊び」にあるような緻密な描写、どれもブリューゲルの持ち味を十分に引き出している。息子のヤンの作品はペーテルに比べると明らかにレベルが落ちるが、花の絵なんかは味わいがあってよかった。

これはルーベンス、レンブラントといったスーパー・バロックな絵画にどうしても馴染めないことにも起因しているのかもしれない。ルーブルにも一大コレクションがあったが、正直に言うとでかさに驚いたぐらいで、全く心動かされなかった。フェルメールは一枚でも破壊力抜群だが残念ながら今は日本に貸し出し中で見ることができず。

最近僕のお気に入りリストに入ったティツィアーノは、質量ともウフィッツィほどでは無いがそれなりにまとまっており、ここでも好印象。

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2.セセッシオンへ
  チケット売り場である国立劇場連盟前売所は最近移転したらしく、最新の「歩き方」に掲載されている場所から少しずれたところにあった。今は中庭ではなく、同じ区画で、カフェ・モーツァルト前の広場に面した角のところにある。日本の旅行会社「みゅうツアーズ」の2、3軒隣だ。

チケットは問題なくあった。バレエうんぬんよりも国立オペラ座の雰囲気を味わってみたい気持ちが強かったので、実際にはさほど迷うことなく即決した。ただ、席をワンランク落としたのは失敗だった。

雨が降り続く中、すぐ近くにあるセセッシオンに移動。建物のてっぺんの「黄金のキャベツ(ほんとは月桂樹の葉)」で有名な建物が印象的なこの建物はシーレ、クリムトといった分離派メンバー・ファンには聖地のようなところ。シドにとっては随分前に日本で行ったウィーン分離派展で「いけてる建物だ」とチェックして以来ついにご対面である。

そんなわけで建物は思い入れたっぷりだが、中は意外に見るものが無い。あっさり見終わってしまった。分離派の作品を見るならヴェルヴェデーレに行った方が良いようだ。

セセッシオンを出る頃には小雨になっていた。

2004年5月6日(木)
楽友協会の建物
黄金のキャベツはいかが?
雨上がりの美術史博物館
4.オーストリア・ギャラリー
  あまりたくさんの作品を見ると、一枚ごとの印象が薄れてしまうのだが、何せ時間が無い。美術史博物館を出た後、今度はこれもウィーンの目玉の一つヴェルヴェデーレ宮内部にあるオーストリア・ギャラリーを目指す。途中市電の降りる駅を乗り過ごしたのはご愛嬌、

ヴェルヴェデーレ宮はウィーンをトルコ軍から救った英雄プリンツ・オイゲン公の夏の居城。この人はもともとハプスブルグ家の人間では無いが、あのオスマン・トルコを追い払ったのだから、当時誰も文句なんて言えなかったに違いない。

分離派以外のオーストリア人アーティストになじみの無い僕にとって、ここはひたすら分離派の美術館である。他にもアントン・ロマコだとか面白いものもあるのだが、たとえば印象派系の絵画を取り上げても、本家フランスのものを上回っていないのも事実。

ここには分離派絵画の象徴的な作品、クリムトの「接吻」がある。実際、僕もこの作品は好きだ。僕の中ではシーレの位置付けはクリムトより上なのだが、ここの作品群だけで判断すると、全体にクリムトのほうが出来が良い感じ。かといってシーレの評価が衰えたりすることは全く無いのだけど。

5.オペラ座の夜
  ギャラリーを出て、曇天の下ベルベデーレ宮の庭園をしばらく散策。外に出た頃にはすでに夕方になっていた。楽友協会やカールスプラッツ駅、ケルントナー通りなどをしばらく歩いて、ゆっくりホテルに戻る。ちょっと休憩した後、スーツに着替える。そうこうしているうちにまた雨になった。外に出るとかなり降っている。「嫌だなぁ」と思いながらオペラ座を目指す。、

まだ時間は少し早かったが、おのぼりさん的に中に入ってみた。ロビーにはそれなりに人がたむろしていたが、ホールの方はまだ時間が早く、人が少ない。ぐるっと全体を見渡すと、さすがに大きいが、コンサートホールとして、横アリだとか武道館を見慣れてる身には、びっくりするほどでは無い、その代わりゴージャス度は高い。さすが伝統と格式の施設だけあって係員の教育も行き届いている。

バレエに関しては、さほど期待していなかった。どっちかというと会場を見るのがメインなので、肝心のバレエの方は「飽きたら寝ればいいや」ぐらいの感覚。

しかし、実はこれが大穴だったのであった。
(鑑賞記は別途掲載予定)

終わった後はシュテファン寺院近くにあるハンガリー料理屋でメシを食ったが、う〜む、昨日のヴィーナーシュニッツェルの方が美味かった。

夜の美術史博物館
ヴェルヴェデーレ宮近景
ヴェルヴェデーレ宮遠景
ネタの無いときはシュテファン寺院
黄金のキャベツ別角度
国立オペラ座の夜
ウィーン
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