演劇


22.「ア・ラ・カルト」 
観賞日 2002/12/?(日) 場所 青山円形劇場
脚本演出 白井晃
出演 白井晃、高泉淳子、陰山泰他
コメント いつもながら、楽しいステージでした。
21.「七芒星」 新感線
観賞日 2002/12/15(日) 場所 赤坂ACTシアター
脚本演出
出演 奥菜恵、佐藤アツノリ、古田新太、橋本じゅん、高田聖子他
コメント やっぱ手を抜いちゃいかんよなぁ。
「アテルイ」のときにすでにチラシが入ってたし、コンスタントにやるもんだと思ってたが、さすがに時間が無かったのかもなぁ。ストーリーも演技も明らかに雑。印象に残ったのは橋本じゅんと野田秀樹ネタぐらい。まぁもともとが根っからの冒険活劇で、楽しめればOKだし、悪く言えばもともと何にも残らん作品だから、そういう意味じゃ多少、大味に作っても問題ないけど、カネもヒマも手間もかかってるんだしもったいないでしょ。粟根まことも見せ場無かったなぁ。

ヘビメタが相変わらず音でかいねぇ。いまどきヘビメタなんてはやらんよ。ヒップホップはあわないとしてもテクノを取り入れるぐらいの柔軟性はあっても良いんじゃないだろうか?

まぁそれでも「大江戸ロケット」よりは良かったけどね。
20.「裏切り御免!」 キャラメルボックス
観賞日 2002/12/1(日) 場所 サンシャイン劇場
脚本演出 成井豊+真柴あずき
出演 細見大輔、岡田達也、大内厚雄、管野良一他
コメント キャラメルの時代劇というと、たいてい幕末モノだが、個人的に幕末という時代にはほとんど興味が無いので(河井継之助なんかがいいんじゃない)、そういう意味ではあまり感情移入しなかったなぁ。

ここのは最近期待を裏切られることが多く、今回も半分義理みたいなもんで、多くを望んだわけではなかったけど、意外に良かった。具体的に何が良かったかと言うと良くわからないのだが、なんとなくよかったのだ。ストーリーがオーソドックスでまとまりが良かった。変に泣きに走らなかった。そういう平凡なところがきっちりできていたから。あえて理由を挙げるとすればそんなところ。

細見大輔かっこよかったっす。西川さん、今回は抑えめだったのが残念。バランスぶちこわしてもいいから西川さんの一人舞台が見たいっす。
こんなこと言ってたらキャラメルサポーターに殺されるな、俺。
18.「今度は愛妻家」
観賞日 2002/11/17(日) 場所 俳優座劇場(六本木)
脚本演出 中谷まゆみ
出演 池田成志、長野里美、真木よう子、高橋長英、横塚進之助
コメント 「ビューティフル・サンディ」以来このシリーズは好きで、必ず見に行く。第三舞台系にしてはストーリーが圧倒的にわかりやすいし、ほのぼの、ほんわりあったかせつな系と、なんだかわかんないかもしんないけど、雰囲気は伝わるであろう、そんな感じなのだ。ただ、でも少しぴりっと辛いところがアクセント。

今作もその傾向ははずれちゃいない。浮気好きで仕事嫌いの北見だんな(池田)とそんなだんなにあきれ、いつも喧嘩ばかりだけど、そばで見守るできた奥さん(長野)。それにいつも心配ばかりしてる助手(横塚)や自宅に連れ込んだ性格悪い(フリをしている)若い女(真木)、変なおかま(高橋)がからむ。

ギャグのセンスはもともと大好きだし、この夫婦がこの後どう折り合いをつけて行くのかと興味津々だったのだが・・・ちょっと違った。意外な関係も明らかになり、そして同時にかかわる人達のどうしようもない心の痛みがどんどん浮き上がってくる。

ラストシーンの余韻がとても良かった。楽しかろうがつらかろうが日々は続いていくのだ。そしてこのシリーズは見終わった後にほんの少しだけ優しい気持ちにさせてくれる。結局のところそれで十分じゃないかと思う。今作はちょっとキャラメルボックスっぽいところもあったが、そんなことは関係無く良い作品だ。いろんな人に見てほしい。そしていろんな人にほんの少しだけ優しくなって欲しい。

17.「マイ・ロックンロール・スター」
観賞日 2002/11/16(土) 場所 パルコ劇場(渋谷)
脚本演出 長塚圭史
出演 長塚京三、野際陽子、京野ことみ、猫背椿他
コメント 長塚京三の息子の・・・なんて冠はもはや不要。いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの阿佐ヶ谷スパイダースを主宰。若手小劇団系の雄だ。この圭史君が親父のために脚本を書いた(初めてではないようだ)。

前半はコメディータッチのノリでギャグセンスも良く、さすがと思える流れ。野際陽子や猫背椿といった、クセのある役者を上手く使いこなしている。もちろん長塚京三も素敵な中年というより、情けなくて少し偏執的な役をそつなくこなす。

ところが、これから、どうなっていくのだろうという展開で、急に流れが一変した。軽妙なコメディータッチがいきなりドロドロの人間模様になっていったのだ。これがあまりにも唐突だった。意気込みはわかるのだが、上手く乗りこなせていない。観客としてはあまりに強引な展開にちょっと呆然としてしまって、複雑な人間関係にどうもしっくりこないのだ。

ストーリーは最後一気に走ってしまった。長塚京三はせめてもうちょっとだけギターの練習をしたほうが良かったのではないか?前半が面白かっただけに、そのままコメディタッチで走るか、シリアスに行くにしても、もっときっちり伏線はっておいたほうが良かったのでは無いか?京野ことみはなかなか面白かった。う〜ん、ちょっと残念。

12.「ピッチフォークディズニー」
観賞日 2002/6/9(日) 場所 シアタートラム(三軒茶屋)
脚本演出 演出:白井晃
出演 萩原聖人、宝生舞、山本耕史、吉田メタル
コメント 重いような気はしてたけど思っていたよりはるかに重かった。
外国の作品のこういった不条理系は筋金入りだ。見事なくらいカルト。

両親の謎の死によって引きこもってしまった兄妹。18歳のときからかれこれ10年、2人だけで、他の人間を恐れて暮らしている。チョコレートが好きで歯はぼろぼろ。精神はおそらく逆行を始めてしまって、小学生レベル。過去の思い出と空想の世界に浸りながら生きている。

ふたりの暮らしを妨げたのは美青年コスモ。本人の言うとおり完璧なまでの美しさ。その美しさに惹かれた兄プレスリーは妹が睡眠薬で眠っている間に、彼を家の中に引き入れてしまう。

妹は前半以外はほとんど眠ったままで、プレスリーにコスモと相棒の怪人ピッチフォークを加えた3人でどこまでも不条理な世界が展開する。

妹役の宝生舞ははまり役かも。わがままで美しいキャラを好演。プレスリーの萩原君とコスモの山本耕史はちょっと個性が無かったかな。逆にピッチフォークの吉田メタルの怪演は良かった。あとちょっとアンドリューワイエスの絵っぽいステージセットが秀逸。全体的にはどうだろう。この手の作品はほんとに評価が難しい。一番わからないのは、

しかし遊◎機械/全自動シアター解散は衝撃だった。また一つ消えていくのか・・・

11.「幽霊はここにいる」 KOKAMI@network vol.4」
観賞日 2002/5/25(土) 場所 サザンシアター(新宿)
脚本演出 鴻上尚史
出演 池乃めだか、木野花他
コメント 今回の役者はわりと地味だなぁと思ってた。池乃めだかが主役っつうのも地味だけど、それ以外にポイントになる役者がいないので、最近のプロデュース公演に毒されてる僕は知らず知らずのうちに物足りなさを覚えてたわけだ。でもこれに出演してるのは実力派ばかりで、客寄せパンダ的な中途半端な役者なんて一人もいない。「よくがんばってた」なんてフォローをしなくても良い役者ばっかりなのだ。この辺は鴻上さんのこだわりなんだろうと思う。

役者はそれぞれ素晴らしかった。木野花はあいかわらず独特の存在感で、いつも感心してしまう。ただ作品自体はちょっと散漫だったなぁ。第三舞台からの流れのあのダンスシーンなんかもちょっとうざったく感じられた。どたばたがいかにもどたばたで、悪い方向に出ちゃってる。ラストもちょっと締まり無かったしなぁ。

ま、何はともあれ次回期待してますわ、鴻上さん。

10.「カルテ」 地球ゴージャス
観賞日 2002/5/18(土) 場所 日生劇場(日比谷)
脚本演出
出演 池岸谷五朗、寺脇康文他
コメント 行く前から疲れてました。なんと1/3寝てしまいました。起きてもまた寝ました。あんなに寝たのは「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」以来。でもこっちはそんな寝る内容ではなかったはずなのだが。

寝た私が言うのもなんですが、作品自体もイマイチだった気が。ダンスもセットも文字通りゴージャスではあるんだけど、それが、不必要に入ってると言うか、重い話なのに無理やりボケてるというか、こういう明暗の切り替えのうまさは野田作品は出色だけど、こっちではなんかどっちも中途半端。もっとストーリー大事にした方が良かったのでは?

ラストの落とし方も安易and抽象的過ぎ。前作は悪くなかったのに、こりゃいったいどうしたことなんしょ?そうそう日生劇場のイスは寝心地最悪でした。腰が痛くなって困りました


9.「おやすみの前に」 
観賞日 2002/5/12(日) 場所 パルコ劇場(渋谷)
脚本演出 福島三郎
出演 宮本信子、川原亜矢子、佐々木蔵之介他
コメント 宮本信子はやっぱりすごい。なんでも器用にこなす人だと思う。川原亜矢子の初舞台が話題になろうと、ちゃんとおいしいトコは持っていくのだ。もっともそうは言っても川原亜矢子存在もかなりインパクトあって、とにかく登場するだけでその周辺の雰囲気が違う。一人だけ別世界の観。

こういったプロデュース公演はもともと達者な役者を選んでやってるから、演技についてはあんまりケチのつけようが無い。宮本信子以外でも佐々木蔵之介は関西弁や教授言葉?など数種類の日本語?をかなり器用に使い分けるし、宮本のつっこみ役宮地雅子もいい味出してる。まぁみんな良かったのだ。

福島作品はわかりやすくて、涙モノが多いし、それは今回も外れてない。落とし方は正直ちょっと飽きがでてきたかなぁと自分では思うんだけど。まぁでもハズレも少ないし、当分見つづけることになりそうだ。

8.「天保十二年のシェークスピア」 
観賞日 2002/3/13(水) 場所 赤坂ACTシアター(赤坂)
脚本演出 監修:鴻上尚史、演出:いのうえひでのり
出演 上川隆也、古田新太、阿部サダヲ他
コメント 途中から一筋縄で行かない展開になってきて、思い出した。
「ああ、この作品は井上ひさしだった。」
これまで見てきたイノウエカブキ作品とは明らかに一味違った。

前半、死ぬほどつまらなかった。
あくびが出た。本当に帰ろうかと思った。

いつも思うのだけど音楽がやかましい。というか音量がでかすぎる。
ライブ行く人ならわかると思うが、良いロックバンドは音量に頼らず音で勝負する。演劇だって同じで、作品のバランスをぶちこわすまでの音量などまったく必要ない。いいかげんうっとおしいと思えるレベルまで来てるぞ、あれは。誰か言ってやれ。

今回はいつも美味しいところをもっていく古田新太も脇でさりげなく目立ってる粟根まこともほとんど印象なし。一方上川隆也はもともとせむしで顔に大やけどをしょってる男の役なので、長い髪でおおわれてしまった顔はほとんど拝むことができない。全出演者がストーリーを構成する上でのコマに過ぎないというのが今作のイメージで、今までのように主役がはっきりして、かっこよく大立ち回りやってというのとは全く違う。要するに似ているのはロックを使った音楽だけで、内実はイノウエカブキとは全く別のシロモンなのだ。そういう気持ちの切り替えを早い目にできていれば見ている印象などもずいぶん違ってくるだろうと思う。

ストーリー自体はシェークスピアのいろんな話(三十七話全部、なんかしらの形で入ってるらしい)がとりこまれて出来上がってるので、ベースとなるものが無く、それが作品の散漫な感じを出していると思う。そういう趣向で作ってるんだからしょうがないが。最後の方で上川の独壇場になってからやっとストーリーがしまった感じ。

予想通り阿部サダヲが良かった。野田秀樹の「ローリングストーン」以来、この人は好きだ。なかなか無いキャラだと思う。今回はちょっとイメージ違ったけど、相変わらず達者な演技で楽しませてくれた。

全体の3/4までは完全に駄作だと思ってたけど、最後の1/4が深かった。上川の熱演も冴えた。「良かった」とは言い切れないが、悪かったと切り捨てるには惜しい。そんな感じか。

7.「アンフォゲッタブル」 キャラメルボックス 
観賞日 2002/3/9(土) 場所 シアターアプル(新宿)
脚本演出 成井豊
出演 西川浩幸 大内厚雄 坂口理恵、岡田さつき他
コメント サンシャイン劇場と違ってこっちの劇場は良いなぁ。
一人分のスペースが広いからな。いい作品はちゃんとした環境じゃないと十分に味わえない。

キャラメルボックスも最近じゃ他の劇団への客演が増えていて、なかな盛況のよう。その分メインの方に出る人が足りないのはご愛嬌か?ま、若手にはチャンスかもしんないし。

作品は三人の兄妹がいて、長男(西川)は作家、次男(大内)は骨董商をやってるんだけど、この次男と言うのが、実は他の2人と血がつながってないのだが、子供の頃の不幸が原因で一年毎に時空を飛び越えパラレルワールドに行ってしまうという無茶苦茶な人なのだ。行き着く先は自分の人生のどこか。60歳の自分だったり40歳の自分だったりして、そこで一年間過ごすことになる。

2002年に進行している話では、アンドリュー・ワトソンというまんまアンドリューワイエスな画家の未発表作品をめぐって、妹(中村)と妹の婚約者(佐藤)、画廊経営者(岡田)、ワトソン未亡人(坂口)、やくざの山名(平野)といった登場人物が、争奪戦を展開する。そこに次男恭一や唯の想いが浮き彫りになっていく。いつものように泣かせるクサイ展開はさすが。

こういった登場人物の一人だけが特殊な能力を持っているという設定は、キャラメルの作品ではよく見かけるけど、僕は正直言ってあんまり好きじゃない。もったいない感じがするのだ。この作品ではその能力が作品中にしっかり入り込んでない気がした。そういうの無しでも十分作れた気がする。

キャラメルの作品は最近どんどん薄くなってる気がする。なぜだろうか?
自分が変わったのか?それとも・・・・

6.「YOU ARE THE TOP−今宵の君ー」 
観賞日 2002/3/6(水) 場所 世田谷パブリックシアター(三軒茶屋)
脚本演出 三谷幸喜
出演 市村正親、浅野和之、戸田恵子
コメント やっぱり女性はすごい。
男は結局女の手のひらで踊ってるだけなのさ〜。

と、改めて再認識させていただくくらい戸田恵子さんが素晴らしかった。
役柄でも、実際の演技でも、男二人を完全に引っ張ってます。すごいです。
前に舞台で見たときもきれいな人だと思ったけど、今日はたまたま舞台に近かったせいで、改めてその美しさを実感。さすがに10代はちょっと無理があったけどさ。

さて、急遽鹿賀丈史の代役でたった浅野和之。最初はちょっとぎこちなかった。いくら上手い人でも練習不足は仕方の無いところだろう。市村正親とのかけあいもどっかぎくしゃくしている。ずっとこの調子かと見てる方がかなり怖かった。でもこの状態を救ったのはやはり戸田恵子。彼女が登場したところで、急に全体の流れが良くなった。中盤からは多少とちったぐらいでは不安感が無くなった。

キャラ的には鹿賀丈史よりむしろ浅野和之の方があってると思った。市村さんもかなり濃い人だから、鹿賀さんと重なるとちょっと重すぎになったんじゃないだろうか?その点浅野さんは全体に抑え気味だし、市村ボケ、浅野つっこみの図式がはっきりしてたので、これも流れを良くした原因では?でもちょっと井筒監督のキャラと似てたな。

話は7年前に亡くなった女性の追悼曲を作ることになった作曲家(浅野)と作詞家(市村)が久しぶりに再会して、お互いに抱いていた女性への想いを語るうちにお互いの知らなかった事実がだんだん明らかになっていくというもの。どっちかというとみんな浅野キャラに共感するんだろうなぁ。僕もそうでした。そして残された者は今日も生きていかないといけないのですね。

市村さんは初めて見たけど、髪形ほどに切れた演技では無く、ちょっと普通かなという感じ。あとラストのシーンはさすがにイマイチ練習不足気味?ま、マイナス点もあったけど、総合点だとかなり良いです。三谷さんさすが。浅野さん偉い。

そういえば、以前「ペーパーマリッジ」で浅野さんの演技見てたんだった。すっかり忘れてた(笑)

5.「ロング・ディスタンス」 MOTHER 
観賞日 2002/2/24(日) 場所 紀伊国屋ホール(新宿)
脚本演出 原案:升毅、作演出:G2
出演 升毅、牧野エミ、宮吉康夫他
コメント ここも終わりだ。まるで連鎖反応のように中堅どころが終わっていく。

若手育成も順調で、問題などほとんど見当たらないような気がしてた劇団も終わりとなるとあっけない。だが、まぁ10年もやってれば、劇団設立当初とは違った考え方が出てくるのも当然か。

最後の作品は、エンターテイメント要素いっぱいで、まるで香港アクションムービーかと思うような内容。らしいといえばらしいか。升さんはおいしいところ持っていくし、牧野さんは踊りまくってるしと、やはりオリジナルメンバーが前面に出て話をひっぱっていく。

作品的にはごちゃごちゃした感じもあってレベルはイマイチかとも思ったけど、最後ならそれも許される?とりあえず中国語と英語と日本語の見せ方をなんとかしてほしかったね。わかりづらかった。

個人的には粟根まことでもゲストに迎えてやって欲しいと思ったが、そうもいかんのね。ま、皆んながんばっていってほしいと思う今日この頃。

4.「OUT」 自転車キンクリートSTORE 
観賞日 2002/2/23(土) 場所 パルコ劇場(渋谷)
脚本演出 原作:桐野夏生 脚本:飯島早苗 演出:鈴木裕美
出演 久世星佳、松本紀保、香取雅子、竹内都子、城之内邦子他
コメント ここの作品を見るのはこれが初めて。前に一度チケットを流したことがある。劇団名がおちゃらけなので、作品もおちゃらけなのかと思ってたが全く違った。さすがに予備知識で知ってたけど。

始まりからヘビィだ。汽車の音かと思うようなベルトコンベアの金属音?が会場内を響き渡り、重そうな大きくて長い扉がステージを左右に走って、場面転換がなされる。だが出てきたのは弁当工場のパートのおばちゃん4人。いきなりかなり地味だ。この4人が家庭にそれぞれ悩みをかかえているところまでは普通なのだが、そのうちの一人が保っていた微妙なバランスを壊してしまうところから話は急展開を始める。その一人、弥生(松本)がギャンブル狂いの夫を勢いで殺害、その処分をクールな雅子(久世)が請負い、それにヨシエ(歌川)と邦子(竹内)が金銭問題から引っ張り込まれ・・・・。

松本紀保も竹内都子も自分のキャラを活かした役作りがいい。でもやっぱり久世星佳さんの雅子が一番いい。かっこよすぎ。遠めに見ると鈴木京香のキャラにだぶって見えたが、ちょっと違うか。

登場者それぞれが、連鎖的に自分達の関係をも崩壊させていく。自らケリをつけてしまうヨシエとつけられてしまう邦子。そして敵対する立場にありながら、同じ種類の人間として惹かれあう佐竹と雅子の特殊な関係。2人の関係は否応無く壮絶なラストへと向かっていく。

最初は家庭の崩壊を描いた作品かと思ってたら、後半は狂気のラブストーリーだった。ラストはある意味、ハッピーエンドなのかもしれない。あれ以外どうやって報われればいいのか?

だんなを殺した弥生、そして殺されなければならなかったギャンブル狂いの夫。殺した後、当初の可愛い風のキャラがどんどん奔放で性悪なキャラに変わっていく。「結局あなたはいつも自分のことしか考えてなかった」という鋭い指摘とともに弥生の責任も暴かれるのだ。サイドストーリーながら印象に残った。

3.「売り言葉」 大竹しのぶひとり芝居 
観賞日 2002/2/6(水) 場所 スパイラルホール(青山)
脚本演出 野田秀樹
出演 大竹しのぶ
コメント 立て続けの2回目だ。

まず前回より時間が短く感じた。
5日だけでも舞台がどんどん凝縮されている感じがする。メリハリがいっそうはっきりしているというか。5日でこれなのだから最後の方はさぞやすごいんだろうなと思う。

前半のギャグ系は何度もやると当人も逆にやりづらくなるのか、どうも乗り切れてない気がした。「犬が〜」のボケもどうもしっくりこなかった。おやじギャグが多いからやるほうも大変だ。

逆に後半の狂気の部分はいっそう真実味が出てたと思う。まさにぶち切れ。大竹しのぶの面目躍如といったところ。目つきの危うさなど見ていて背筋に寒気が走るような感じだ。まったく大竹しのぶの演技は本当にすごい。

「智恵子抄」に対するアンチテーゼ。やはり作品は読んでおくべきなんだと思う。読めばいっそうこの作品の毒がわかったことだろう。それが一方の側から吐かれた言葉である以上、そこには必ず別の視点が存在する。一つの才能が別の才能のエゴに取り込まれていきそして崩壊するサマ。ロダンとカミーユ・クローデルの関係にも似ているか?

なぜ「智恵子抄」なのかを納得させるほどの理由は今回も感じられなかった。いつもの野田作品は最後にたいてい人間の業を感じさせ、人が決して乗り越えることの出来ない一線を半ば自嘲的に、あるいは第三者的な冷徹さで描いているような気がするのだが、それに較べると今作はもっと直接的に、人の感情を描き出している。実在の人物を史実に近い形で描くとそうなってしまうものなのかも知れないが。そのぶん問題が普遍的で無いので、作品へのシンクロ度という意味では落ちるかもしれない。

逆に言うとそこが大竹しのぶという野田秀樹とはカラーの違う天才を起用して描こうとしたものなのか。人の直接的な心情を描く。野田秀樹はそれによって傍観者から当事者の立場に立とうとしたのかもしれない。そして心のどこかでいつもの野田作品を期待している自分にはそこにどこか肩透かしを感じたのかもしれない。

「智恵子抄」に対する売り言葉を。光太郎は最後までそんな智恵子の変わってしまった理由がわからなかったに違いない。実家の破産による心労がそうさせたと考えるのが彼にできる精一杯の想像だったのだろうか?彼にとっては5ヶ月間智恵子をほったらかしにしたことなど全く問題では無かったに違いない。彼は最後まで智恵子抄の美辞麗句と現実との区別がついていなかっただろうから。

ラスト、破り捨てた、紙のバック一面に掲げた絵、非常に印象的だった。紙とセロテープの使い方といい、やはり常人の意識の及ぶところではないなぁ。結局いつもながら、放心状態になるくらいすごかったわけだ。

2.「売り言葉」 大竹しのぶひとり芝居 
観賞日 2002/2/2(土) 場所 スパイラルホール(青山)
脚本演出 野田秀樹
出演 大竹しのぶ
コメント ふ〜む。困った。

今日は初日。予想通り立見の人が並んでいる。
ステージは真中が中央にせりだしている。ステージ沿いに通路がついており、舞台の下に下りてくることもできるようになっている。

大竹しのぶ登場。いきなり衝撃的な登場で、どきっとさせる。それからいきなり東北弁で始める。その東北弁があまりに上手いので驚く。

さすがに野田の作品だけあって、随所に野田の顔がだぶる。一瞬大竹しのぶの顔が野田秀樹の顔に見える。

今回の作品は「智恵子抄」がベースだ。それを智恵子の視点で描く。すると「智恵子抄」には表現されなかった裏の部分が見えてくる。現実の智恵子は発狂したから。

前半はいろいろシカケを入れて余裕の展開だったが、後半は遊びが無くなり、シリアスな展開になる。初日だけあって、さすがの大竹しのぶにも余裕が無かったか、後半は少し見るのが辛く感じた。

確かに野田秀樹のときとは違う。ストーリーの一貫性などはっきりしているし、はっきりした舞台転換は無い。

大竹しのぶはさすがの上手さだ。声も良く出ているし、細かい演技もすばらしい。作品に必要な狂的な危うさもある。だが最初からずっと感じていたとおり、なぜ今「智恵子抄」なのかの必然は感じられなかった。わからない。もう一回あるが、今のところこの作品はそれほど心に響かなかった。

1.「彦馬がゆく」 パルコプロデュース
観賞日 2002/1/20(日) 場所 パルコ劇場(渋谷)
脚本演出 三谷幸喜
出演 筒井道隆、酒井美紀、大倉孝二、松重豊、梶原善他
コメント いや〜なんか久々に良い演劇を見た感じ。
「バッド・ニュース、バッド・タイミング」とか「オケピ!」とか最近の三谷作品はプラスαを求めて、ちょっと狙いすぎの感じがしないこともなかったから、それに比べて再演ながらわりと王道な感じのする本作は、久々にしっくりきたって感じ。もしかしたら自分的には三谷作品のベストかもしんない。
 
細かいところを見るとアラが無いことも無い。途中ちょっとたるんだところもあるし、長いと言えば長い。歴史の有名人のパロり方がちょっと狙いすぎのきらいもある。最後の大仕掛けは必要だったのかどうか正直言うと疑問だ。だが良いと思ったときにはそんなことも気にならなくなるものだ。

始まってすぐにセットの行き届きぐあいに「どきっ」とした。よく作られたセットだと思った。それから役者のうまさに感動した。みんなうまい。酒井美紀は映画「ラブ・レター」時代から好きなので多少ひいき目が入っていたが、そんなもん関係無いぐらいうまかった。奥菜恵に比べると天と地ほど差があるぞ。一番おいしいところを持っていった梶原善は言うに及ばず。筒井君はキャラにあってた。松重豊は好きな役者だが、この竜馬役にはちょっと剛直すぎて合ってない気もしたが。

ストーリーも良い。こういった一代記みたいなのは基本的に好きなのだ。流されているようで流されていない。自分のスタンスを自然に取れるような生き方はとても好きだ。陽一郎兄貴の成長しなさ具合も良い。最後の印象的な酒井美紀の演技。思わず涙してしまったい。

いや〜これはもう一回見たい。チケ取り狙うぞ〜。


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